料理家 辰巳芳子さんの
伝説の生ハムがついに復活

「いのちのスープ」で知られる辰巳芳子さんは、おそらく日本で最初に生ハム作りに成功した方だというのをご存知だろうか。彼女が十数年ぶりに生ハム作りを再開し、知る人ぞ知る「辰巳芳子の生ハム」が、ついに数量限定で世に出ることになった。

撮影協力:「モナリザ」恵比寿本店 撮影:内藤 拓(辰巳芳子さんを除く)

上質なハモンセラーノは、シンプルに赤ワインやバゲットとともに生ハムそのものの旨味を存分にご堪能いただきたい。

日本人好みの、まろやかで品格ある最上質のハモン

15年がかりで夢中になって完成させた大切な食材

辰巳芳子さんが生ハムに出合ったのは、50年以上前の40代半ばのことだ。ローマへイタリア料理を学びに行った際に、隠し味として使われていた生ハムは、〝イタリアの鰹節〟のような存在だったそうで、帰国後には生ハムなしでは再現できない本場の味があると実感したという。 
熟成した生ハム、ハモンセラーノは、塩漬けにした豚肉を長期間吊るして乾燥させて作る。高温多湿の日本では無理といわれていたそうだが、ある日、鎌倉の自宅にいた彼女は、庭を渡る気持ちのよい風に頬をなでられ、「ああ、よい心地」と感じたのと同時に「これなら生ハムが作れるのではないか」とひらめいたという。この一瞬の天啓から、日本ではそれまでほぼ誰も成しえなかった生ハム作りへの挑戦が始まった。 
徐々にイタリアではなく手作りの現場を見られるスペインへ行きたいという思いが募る。日本と気候の近いバスク地方の女人禁制の僧院を訪れ、人を介して作り方を教えてもらうなど、彼女はピレネー山脈からジブラルタル海峡まで、スペイン全土の生ハム作りの現場を見て回った。自宅には、生ハム専用の小屋まで建ててしまったという。作り方は極めて伝統的で、添加物は一切使わない。毎年少しずつ改良を重ね、実に15年をかけて日本の風土に合ったやり方を完成させていった。
「味はスペインやイタリアの生ハム以上であると思っています。それは、試行錯誤を繰り返す中で、日本人でなければやらない手間をかけているから」。塩をした豚後足を一切の妥協なく、温度、湿度、塩量、風量を管理することにより臭みのない生ハムができる。長年の料理経験により育まれた知見が、自然と必要なことを教えてくれた。「私にとって、生ハム作りはただただ愉快なものでした。だからこそやり切ることができたのです」。 
彼女が十数年ぶりに作る生ハムは、山形県産の高品質な庄内豚を使用。空気と水に恵まれた鶴岡市に新設された工場内で仕込み作業と熟成を進行させている。第一弾となる24か月熟成ものの出荷は、2024年春頃からを予定している。

profile

辰巳芳子

たつみ・よしこ 1924年生まれ。料理家、随筆家。聖心女子学院卒業。料理研究家の母・辰巳浜子さんの元で家庭料理を習得するほか、フランス、イタリア、スペイン料理も学ぶ。父を介護した経験からスープ作りを探求。「スープの会」主宰。著書に『スープ日乗』(文藝春秋)、『辰巳芳子の野菜に習う』(マガジンハウス)ほか。

よく切れるペティナイフでそぐように薄く切る。じっくり乳酸菌発酵した上質な生ハムは、独特な風味がある。

辰巳さんと親交のある「タイユバン・ロブション」の元料理長で「モナリザ」総料理長の河野透シェフ(写真)や、鶴岡市「グランドエル・サン」総料理長の片倉忠直シェフらも、このプロジェクトをサポートしている。河野シェフ曰く「(辰巳さんの生ハムは)塩気がマイルドでこの上なく上品な味わい」とのこと。

先行予約販売

「ハモンクルード アラタツミ」

辰巳芳子さん特製の生ハム骨付き原木の先行予約を開始します。貴重なこの機会にぜひご賞味ください。

ハモンクルード原木1本
24か月熟成/2024年春頃~納品予定:198,000円(税込)

※数に限りがありますので、先着順となります。ご予約いただいた方のうち販売当選された方には、追ってご連絡させていただきます。

Information

PAVONE「ハモンクルード アラタツミ」先行販売受付(K・Pクリエイションズ株式会社)
TEL 03-6812-9705 /E-MAIL koyanagi@koyanagi.co.jp