今なぜインドスタートアップ投資に注目すべきなのか
Z世代人口の急増が進むインド
スタートアップ投資の絶好の機会に
インドは今、米国・中国に次ぐ存在感を示し、世界が注目するスタートアップ大国へと成長しています。ENRISSION INDIA CAPITAL は、日本の投資家とインドの有望スタートアップをつなぐ架け橋として、インドスタートアップに特化したPEファンドを運営しています。今回のインタビューでは、同社の志賀啓一郎氏にファンドの特徴について伺いました。
Profile
志賀 啓一郎 ENRISSION INDIA CAPITAL 取締役 兼 営業部門統括
大学卒業後、野村證券に入社。その後、HSBC 香港上海銀行にて富裕層向けアドバイザーを経験。さらに、フィデリティ、ピクテ・ジャパン、クレディ・スイスなど、国内外の金融業界で約20年に亘り要職を歴任。2025年1月、ENRISSION INDIA CAPITAL の取締役に就任。公益社団法人日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。
インドの人口は現在14億人。少子化・高齢化が進む多くの先進国と異なり、世界でも最も若い人口構造を持っています。中間所得層の拡大も顕著で人口に占めるZ世代の比率は2010年40% → 2020年 65% → 2030年 74%と推計されています。インドのZ世代は米国や日本の総人口を上回り、日本の総 人口の約3倍に達しています。
インドスタートアップの数は過去10年間で500倍に成長し、約16万社に到達しました。政府も起業を後押しし、IT・デジタル分野を中心に急速にイノベーションが進んでいます。その結果、ユニコーン企業数は世界3位、IPO件数は世界1位となり、EdTech、FinTech、モビリティ、ディープテック、D2Cなど多様な分野で革新的な企業が登場しています。
インドスタートアップにおける中心的な役割を果たしているのが、世界最高峰の理系国立大学、インド工科大学(IIT)です。現在インドで誕生した123社のユニコーン企業のうち、約7割はIIT出身者によるものとされ ています。当社は、こうした優秀な起業家を輩出するIITの複数キャンパス内に、独自拠点「SHIRU STARTUP CAFE」を運営しています。このような当社のプラットフォームと現地ネットワークを活かし、多様なスタートアップから投資先を選定しています。
インド工科大学との綿密な連携がスタートアップへの投資機会を創出
当社の出資先であるスタートアップ46 社の多くがIITの出身者です。彼らの多くはインドに存在する社会課題の解決を目指しています。世界一のバナナ生産国でありながら収穫の大半が廃棄されていた問題に挑む、バナナチップスを製造・販売するBeyond Snack、インドの水不足という課題に立ち向かい、空気から飲料水や工業用水を生成するUravuなどがその一例です。
当社ファンドを通じてインドスタートアップに出資する投資家は、いわゆるエンジェル投資家層に加えて、製造業や専門商社のオーナーが多くを占めています。その半数は既に海外事業を展開しており、将来的にインド市場への進出を検討している方も増えています。
このようなインド進出への期待を背景に、当社はファンド出資先との事業創出支援に加え、特定の技術領域を持つインドのスタートアップをリサーチし、接点構築を支援するサービス『CVC as a Service』を提供しています。さらに、IITやスタートアップの拠点を訪問し、研究開発の現場や起業家との対話 を通じて最先端の動向を直接体感いただくため、投資家向けのインドへの現地渡航を定期的に実施しています。
インドのスタートアップエコシステムは、まだまだ大きな可能性を秘めています。日本の投資家や企業にとって、単なる投資にとどまらず、共に新しい価値を生み出していく場になるはずです。ENRISSION INDIA CAPITALはその橋渡し役として、両国の発展に貢献していきたいと考えています。