PAVONE 特別インタビュー

いよいよ来月には新天皇の御即位があり、新しい時代がやってくる。
新しい時代に向けて賢人たちはどのような事を考えているのだろうか。
全てにおいてグローバル化は進み、ITやAIなどの導入はすでに待ったなしの状況だ。
仕事や生活、ライフスタイルの変化に動じてはいられない。
賢人たちの知恵をぜひ取り入れて変革の時代に臨みたい。

新時代を切り拓く 賢者たちの言葉

撮影:山本倫子
   大橋マサヒロ
   杉能信介

AI(人工知能)はインターネット同様
すでに不可欠のインフラである

実はいつの間にか人々の生活に次第に入り込んで来ている﹁AI﹂。先端医療や流通、自動運転などの技術革新にはすでに欠かせないものになっているが、掃除ロボットや音声認識スピーカーなどその応用範囲は多岐にわたっている。その革命的な勢いに対してやや遅れをとっていると言われる日本。グーグル本社でAI開発を行い、シリコンバレーで起業し、AIビジネスの最先端で活躍する石角友愛さんに今後日本の進むべき道などを伺った。

  • パロアルトインサイト CEO
    石角友愛氏

    シリコンバレーでの生活を2/3、日本での活動を1/3過ごしている。子育てにもAI スピーカーのアレクサを利用している。英単語のつづりを聞いたり、宿題をするのにも使わせればAI ネイティブになり、質問を作る力を付けるのにもいいと考えているそうだ。

米中に遅れをとる日本企業
今は絶好の参入時期

 「シリコンバレーではAIはすでにインフラでありツールであって単なる手段なので、目的ではないのですね。電気やインターネットと同じものです。残念ながら日本の企業の方は実装のイメージが出来ていないというように感じます。課題を解決してくれる、何か万能の神のように勘違いされている方も多いかと思います。まず構造的な問題としては、企業の中にデータサイエンティスト、ソフトエンジニアにあたる人材がいないということ。となるとAI導入時に外注することになり、結果、時間もコストもかかってしまうことになります。まずAI化する前にデータのデジタル化が必要なのですが、そもそも紙ベースでしか記録がないという企業もあり、データベースを作るためには、本当に泥臭い作業の連続になります。そのために現実的なロードマップを作ることがAI化にとっては必要なことです。近年、中国が2030年までに世界一のAI大国になるという国家戦略を発表しましたが、それに対して米国トランプ政権もそれに対抗する姿勢を示し、日中の外交、経済戦略上の大きな課題になっています。」

 「そんな中、AIの運用にはこれまでオープンソースの考え方が主流だったところ、Facebookからの膨大な個人情報の流出などから潮目が変わり、EU圏において個人情報保護の流れが加速、EUはGDPR(General Data rotection Regulation ※一般データ保護規則)を採択しました。日本がこの流れでどのような立場を採るのか正念場にあり、また日本企業がこの流れに加わるチャンスでもあると思います。これまでのルールが変わるという前提で、GDPRを加味した形でデータベースを作り直すなど議論すべき時期でしょう。AIはインフラですので、インターネット同様、向いていない業種というのはないのですが、数字として効果測定しやすいエリア、物流や製造、営業、マーケティングなどは親和性が高いと思います。特に物流の最適化に関してはECビジネスの伸びに従って、全ての業種に渡って影響を及ぼすことになると思います。」

日本独自のスモールデータを活かしAIが顧客中心主義を実現する

 「日本は現時点でビッグデータを保持している企業はあまり多くはありません。日本はスモールデータで戦うべきで、かつ汎用性の高いAIを作るべきでしょう。ある弊社のクライアント企業では、熟練の作業員が目視で検品する作業をAIに学習させることで効率化を図ろうとしています。数少ない不合格のデータを学習させて、何を検知させるかを覚えさせるようなものは非常に汎用性の高いAIとなると考えられます。精度の改善などの課題を解決できれば、これらは日本独特の高度な技術を集積させるので日本の強みとなることでしょう。」

 「AIは顧客中心主義を実現するためには必須のツールであり、今後はそのような顧客データを元に事業を行わない企業はユーザーの満足度を上げるのは不可能でしょう。AIは人間がやりたくない作業を代わりに行ってくれるものだと考えています。人間中心の取組みが出来るようになるのがAI導入なのです。それが実現出来れば、人がより高付加価値の仕事に就けるのではないでしょうか。自分自身も、ルンバの最新モデルだとAIマッピングの技術で掃除をして欲しいエリアを指定して覚えてくれるし、自動ゴミ捨て機能なども助かります。そのような投資は惜しみません。シリコンバレーでは家事もシェアリングエコノミービジネスを活用しています。自分が子供にとって一番価値を提供できることに集中出来るようになりました(笑)

Profile

石角友愛 Tomoe Ishizumi
パロアルトインサイト CEO
ハーバードビジネススクールでMBA を取得した後、シリコンバレーのグーグル本社で多くのAI プロジェクトに関わる。AI 関連企業に勤めた後、シリコンバレーでパロアルトインサイトを起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI 戦略提案からAI 開発まで一貫したAI 支援を提供。AI 人材育成のためのコンテンツ開発なども手がける。著書に「いまこそ知りたいAI ビジネス」(ディスカヴァー・トウエンティワン)などがある。

世界に向けて日本の魅力が発信される時代
価値の高い不動産開発で地域・社会に貢献

不動産の総合開発企業として、分譲マンション、戸建て住宅の開発、販売だけではなく、ホテル・商業施設・物流施設の開発や大型まちづくり・土地区画整理事業まで幅広く手がける株式会社日本エスコン。暮らしを開発する﹁ライフ・デベロッパー﹂として飛躍する同社の代表の伊藤氏に、今後の日本の不動産・住宅が向かう方向について伺った。

  • 株式会社日本エスコン 代表取締役社長
    伊藤貴俊氏

    年間365日、仕事ばかりしている伊藤社長。ゴルフだけはリフレッシュしつつ、人との出会いがあるために出かけているという。

日本への不動産評価は未だ低い
良質な供給がさらなる価値を創る

 首都圏・関西を中心に「グランレ・ジェイド」シリーズなど、魅力的なハイエンドの集合住宅を開発・販売する株式会社日本エスコン。近年はホテル、ショッピングセンターなどの大型開発、九州・福岡の土地区画整理などを行う他、エスコンジャパンリート投資法人を2019年2月に上場させるなど多方面に事業を展開している。そこで、今後の国内の不動産環境・住宅環境はどのように変わっていくと考えられるのか代表にお話を伺った。

 「近年、アベノミクスの影響によって、不動産価格は首都圏や大阪を中心に高騰をし続けています。名古屋、福岡などの他の都市部にも影響しているように思えます。ただし、ニューヨークやロンドン、香港、シンガポールなどの世界の四大都市に比較してみると、首都圏の不動産価格はまだまだ低いように思います。オリンピックやインバウンド効果によって、今後、数千万人の観光客が訪れ、世界的に注目される東京の価値への評価はまだまだ上がっていくと思われます。世界でこれだけクリーンで治安も良く、しかも四季の美しさを楽しめるような都市は他にはないですからね。そこで私たちは、特に首都圏の不動産事業に注力して、良質な住居を提供していくのが自分達の役目だと思っています。海外富裕層からも認められる、世界基準の価値ある住宅を作っていきたいと思います。」

事業を通じて新たな市場を開発
地域・社会に貢献する企業に

 「不動産というものは一つとして同じものはありません。我々はその街にふさわしい、あるいはより良く評価されるためのファサードなどを考えて、ひとつひとつ手づくりで創りあげることをモットーにしています。土地が生み出すポテンシャルを活かすためには柔軟な発想を基に、今後も集合住宅を作っていきたいと思います。最近は、それぞれのお客様がネット環境の浸透により、住宅に関する情報も大量に持っているのを感じます。我々はその先を目指していかなければならないので、決して画一的なものであってはいけない、未来の建築の可能性について追求していかなければならないと思っています。」

 「我々の会社が作った住宅を見ていただければ、同じ会社が造ったとは思えないほどに、それぞれに個性的な、特徴あるデザインを持っています。それが結果的にお客様に認知していただくようになるのではないかと思います。この場所だったら自分自身、本当に住んでみたい、と思えるような土地を取得して、より魅力的な住宅を造っていきたいと思います。本年2月には日本の課題である貯蓄から投資へと移行させることを目指し、投資法人を上場させました。将来の社会保障が減っていく中、自立した未来を手にするため収益不動産を開発し、市場に供給させています。私たちは分譲事業を基盤としつつ、商業施設や市場の開発を通して地域・社会に貢献できる企業になっていきたいと思います。」

Profile

伊藤貴俊 Takatoshi Ito
京都府出身、株式会社日本エスコン代表取締役社長、株式会社エスコンアセットマネジメント取締役、株式会社エスコンリビングサービス取締役、株式会社エスコンプロパティ取締役。趣味は仕事とゴルフ。

おもてなしの文化を創造する
「レストランひらまつ」の美学

1982年に「ひらまつ亭」を創業。日本にフランス料理の礎を築き、おもてなしの文化を創りあげた「レストランひらまつ」。つねにパイオニア精神を持って新しいレストラン産業のかたちを創造し、切り拓いてきた。マダムとして、夫であるシェフの平松宏之氏を支え、共に歩んできた平松慶子氏にお話を伺った。

  • 「レストランひらまつ 広尾」 マダム
    平松慶子氏

    ご自身の中にある幸せの秘訣は?と問うと、「過去でもなく、明日でもなく、今を生きる。レストランでの出会いもそうですが、一期一会を大切にすることです」と、平松慶子氏は答えてくれた。
    取材・文: 朝岡久美子

業界の常識を覆してきた仏料理のパイオニアを見守ってきたマダムの笑顔

 「82年の創業当時からいいお付き合いをさせて頂いているお客様は今も定期的にこのレストラン(レストランひらまつ 広尾)に足を運んで下さるんです。共にいい時代を生きてきた人々と、今も時を共有できる喜びは何にも代え難いものです」

 「80年代の創業当時はオーナーシェフとして独立したフランス料理店を持つということは非常に珍しかったんです。高級フランス料理というと老舗ホテルの中にあるレストランというのが定説でしたが、主人は10代の頃からすでに何か新しいかたちを夢に描いていたようなんですね。私が主人に出会ったのは19歳の時で、その時すでに『マダムになってほしい』と言われ、とてもびっくりしました」

 その夢は、二人でのフランス留学を経て、着々と実現してゆく。88年、現在のレストランがある広尾に移転。予約の取れない伝説の店と呼ばれるまでになった。

 「お蔭様でバブル崩壊の前後数年以外はつねに右肩上がりでした。でも、あの厳しい時代が私たちのターニングポイントだったと思います。バブル崩壊を境に高価格帯のみではなく、カジュアルなカフェ、ビストロへと幅を広げ、同時に多くの皆様にもフランス料理の喜びを味わって頂きたいと思うようになったんです」

 「あの時期に思い切って業態を広げることは大きなかけでした。でも、安全圏に居続けるか、大きく出るか…。主人はもちろん挑戦することを選びました。結果的には会社もより大きく成長し、幅広い方々にフランス料理の文化を、そして『ひらまつ』という名を知って頂くことができました。でも、あの時、『責任はすべて自分が取るから率直な思いを』と、主人は最後の決断を部下たちに一任したんです」

 初のレストランウエディングを世に提案した時のエピソードも興味深い。

 「結婚式場ではフランス料理の良さを味わえない状況を知り、レストランに行く機会の少ない高齢者や地方からのご列席者にもフランス料理の醍醐味を知ってもらいたいという思いがありました」

 もう一つ世間をあっと言わせた出来事があった。2003年、ジャスダックへの上場を皮切りに、2010年、高級レストランとして初めて東証一部に上場したことだ。

 「私たちはつねにレストランというのは〝人がすべて〞と信じてきました。ですから共に働く仲間の幸せと、一人ひとりへの投資を何よりも大切に考えてきました。ところが、当時のレストラン業界ではサービススタッフの地位はとても低かったんです。料理人が一番上で、彼らはその下。主人が『サービス一人ひとりを教育する。ワインの勉強のためにフランスにも連れて行く』とシェフ仲間に提案しても、現実的に難しいと、なかなか理解してもらうことができませんでした」

 その思いはフランス研修どころか、自分自身に最大の喜びを与えてくれたスタッフに恩返しをしたいという夫妻の一心から、一部上場というかたちで実現した。

 「サービススタッフにとっても料理人にとっても、一部上場のレストラン企業で働いているという安心感と喜びはひとしおだったようです」

 「レストランというのは、お客様においしいものを召し上がって頂いて、語り合い、互いが理解し合い、幸せを感じて、また明日から頑張ろうという気持ちになって頂く場所ですから、私たちもいつも幸せな気持ちでいることが大切なんです」と、慶子マダムのとっておきの笑顔がこぼれる。〝ひらまつの美学〞ここにあり。

Profile

平松慶子 Keiko Hiramatsu
平松宏之氏と結婚後、夫婦で渡仏。パリやナントなど、数々の星付きレストランでの“マダム”経験を経て帰国。1982年「ひらまつ亭」のオープンと同時に28歳にしてレストランのサービススタッフを束ねるマダムとしての才覚を発揮しはじめる。以来、37年にわたり、「レストランひらまつ 広尾」を象徴する存在として、多くのお客様を魅了し続けている。

VRやAIの進化が変える「未来の住宅」をもっと多くの人に提供したい

ホームオートメーション、スマートホームという大きな変革が訪れている住宅業界では、テクノロジーの進化がめざましい。そんな中、マジックミラーとモニター画面に最新のVR(ヴァーチャル・リアリティ)やAI(人口知能)の技術を導入し、最先端のインテリアを提案しているグラスルーチェ。その代表である花村氏にお話を伺った。

  • 株式会社ハナムラ 代表取締役社長
    花村勇臣氏

世界に比べて遅れている日本の住宅のテクノロジーの進化

 イタリア家具のインポーターとしてミラノサローネに15年間参加してきた花村氏は、2006年、TV画面をガラスでフラットにした展示方法に出会う。試行錯誤の末、オリジナルのマジックミラーと映像システムを融合させた新しいインテリアデザインを開発、さらにVRとAIをインテリアに導入した「ミラーコンシェルジュ」などを開発している。

 「海外ではアメリカを中心にAIというインフラが急速に発展しています。そんなテクノロジーの進化が日本の住宅に入ってくることにより、現在は大きなスマートホーム化(快適な住宅一括制御システム)の波が訪れています。特にアメリカの豪邸と呼ばれるような家では、すでに20年前から導入が進んでいて、ほぼ全て、95%の家にホームオートメーションが導入されています。」

 その夢は、二人でのフランス留学を経て、着々と実現してゆく。88年、現在のレストランがある広尾に移転。予約の取れない伝説の店と呼ばれるまでになった。

 「お蔭様でバブル崩壊の前後数年以外はつねに右肩上がりでした。でも、あの厳しい時代が私たちのターニングポイントだったと思います。バブル崩壊を境に高価格帯のみではなく、カジュアルなカフェ、ビストロへと幅を広げ、同時に多くの皆様にもフランス料理の喜びを味わって頂きたいと思うようになったんです」

 「最近では、テクノロジーを仕事にしている方々などから需要が伸び、続々と導入が始まっています。普段扱っているテクノロジー、VRやAIを生活に取りいれようという意識が高まってきました。ホームオートメーションが生活を便利・快適にすることが理解されるようになりました。また我々のシステムは制御器にダイレクトにLANケーブルでつながっているために、インターネット環境がダウンしたとしても全て機能してくれます。ハッキング対策も十分に行なわれていて、制御器へのセキュリティが強化され、これまでにないスタイリッシュなスマートスイッチのパネルに統合されているのも魅力のひとつです。

進化するミラーコンシェルジュが人の生活をサポートする

 新しいテクノロジーとしてVRやA Iを駆使したインテリア「鏡の中にコンシェルジェを派遣する」という発想で日常的な人間ドッグの役割も果たすというのが「ミラーコンシェルジュ」。「映像脈波伝搬速度」により心拍や血流、体温などを計測できるカメラを導入することで日常人間ドッグ的な働きをするという。

 「もしもこのシステムで異常が検知されれば、コンシェルジュが声で、どのようにすれば良いかをアドバイスしてくれます。カメラが顔認識を行い、家族それぞれのデータをクラウドに上げるので、家族全員の日々の健康管理を行うことも可能になります。またミラーコンシェルジュで出てくる顔は自分の好きな顔を選ぶことが出来ます。これはユーザーインターフェース的にすごく良いと思います。自分の気に入った人の顔写真をもらえれば、そこから簡単に3Dの加工が可能です。現在の技術では声も集音すればそこからアバターを作成して、世界中どこでも存在することが可能になります。今後、進めていきたいのは巨大なバーチャルショールームを作ること。その空間に自分達の商材を置いて、その中ではコンシェルジュが様々なインフォメーションをしてくれる。場所のコストも抑え、人手不足も解消される、すでに不動産業界などは店舗のVR化などを進めていますが、そういった形に様々な業種の販売方法も移行していくのではないでしょうか。」

Profile

花村勇臣 Isamu Hanamura
貿易会社を立ち上げるためアメリカ・サンフランシスコに3年滞在。その後、証券会社にて海外不動産事業に従事した後30歳で独立。1993年に株式会社ハナムラトレーディング(現:株式会社ハナムラ)を設立。現在は LUXURY HOME TECHNOLOGY COMPANY をテーマに、新宿OZONE にてGLAS LUCE × Smart Home 東京ショールームを展開。