外資証券会社トップトレーダーから転身
米国ユニコーン企業への投資ファンドを設立

企業投資の最前線に立ち続けたことで、日本の資産運用業界の足りない部分に気づき、米国企業等と日本の投資家を結ぶ、新たなビジネスモデルを考えたというメンザス氏。ギリシャ人の父を持ち、母は日本人。どうしても起業したくて、引き留める会社を辞めて、ギリシャ料理レストランを開いたこともあるという、快活でウィットの効いた話しぶりは聞く者を惹きつける。

HiJoJo Partners 株式会社 代表取締役 CEO

スピリドン・メンザス氏

日本と米国の企業投資の市場はシステムが大きく異なっている。毎年数多くの新興企業が生まれる米国では、その企業の発足から上場までのあらゆるステージで投資家が参入可能だ。日本では実質上場した企業にしか投資できない現状の中、新たに米国ユニコーン企業等への投資システムを構築したHiJoJo Partners の代表にその魅力についてお話を伺った。

ワクワクするような米国等の新興企業へ日本から投資可能なシステムを構築

「日本ではずいぶん前から貯蓄から投資へ、という機運はあるのですが、実際に投資を行う人はまだまだ少ない。約1900兆円の個人金融資産があっても現預金が半分以上の約1000兆円で株式投資に向かうのは200兆円あまり。米国の10分の1にすぎません。かといって日本人がリスクをとらないということもなく、ビットコインや為替などに投資する人も数多くいます。日本人があまり投資に向かわないのはそれに値する商品がないのではないか、と考えたところに創業のきっかけがありました。日本では個人や機関投資家が投資する場所が、上場した後の株式市場しかほぼ存在しない。リスクの高いシードと呼ばれるコンセプト段階の企業を援助するクラウドファンディングなどもありますが、その後、IPOして上場する前のミドル、レイトステージの投資市場が存在していません。日本では証券会社は非上場の会社の株式は販売してはいけないことになっていますので、証券会社は扱わない、すると怪しい業者などからしか買うことが出来ないことになります。それに比べて、米国では投資する仕組が多様化していていずれのステージにも市場が存在しています。そこで日本からでも上場する前の米国等の将来有望な企業に投資する仕組みを作れば日本人の投資行動が大きく変わるのではと思ったのです。米国ではこの5〜6年でユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上)が数多く生まれています。そんな中で我々は、これまで米国名門大学の卒業生向けの学生ローンの借り換えや、オンラインでの融資を扱うサンフランシスコのSoFi 、シリコンバレーで米国最大規模の遺伝子情報を扱う23andMe 、世界的に有名なイスラエルのサイバーインテリジェンスのKELA&MAGEN、西海岸サンタモニカ発の電動キックボードシェアリングのBIRDの4社をファンドに組み入れています。

他にもプリンシパル投資として骨の再生医療をてがけるEpiBoneや思考によってコントロール出来る「ブレイン・コントロール・インターフェース」を提供するNeurableなどがありますが、今回新たに3Dプリンターによる製造革命を目指すCarbon社をファンドに組み入れる予定です。従来の3Dプリンターを遥かにしのぐスピードと大量生産、無人化が行えるため、製造コストの大きな削減が可能になります。すでに各企業から高い評価を受け、adidasのスニーカーのソール、Ford、Lamborghiniなど多数の自動車メーカーの自動車部品にも採用されています。資本関係では2016年に日本の光学機器大手ニコン、合成ゴム大手JSRから出資を受けています。この企業に最初に投資したのは西海岸のナンバーワンベンチャーキャピタルの1社であるセコイア・キャピタルです。その後グーグルベンチャーズが値付けをした段階で参入したのがBMWであり、前述のadidasも株主になっています。またシンガポール政府のソブリン・ウェルス・ファンドであるテマセクなどリターンを期待する投資家なども多数参加しています。」

「リターンを期待する投資家と、今後ビジネスを一緒に展開する企業がバランス良く並んでいるこのユニコーン企業等への投資は、未来へのワクワクするような期待とともに、参入する歓びを得られるのではないでしょうか。自分たちはその投資先を徹底的に調査しているということが重要であり、ミドルリスク、ミドルリターンのこの米国ユニコーン企業等への投資は、今後日本の投資システムの流れに大きな影響を与えることとなるでしょう。」

Profile

スピリドン・メンザス

コロンビア大学を卒業後、95年ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社にプログラマーとして入社。その後トレーダーとしてエクィティ部門のバイス・プレジデントに就任。退社後、コンサルタントとしてみずほ証券のアルゴリズム取引の導入を成功に導きみずほ証券に入社。
日本株・アジア株の株部門の共同株式本部長に就任。投資業務部異動後にはフィンテック分野に注力し世界100社以上のベンチャー企業、80社以上の機関投資家との間で、ベンチャーファンドの投資リスク調査や企業価値の向上、アレンジメントを手がける。2017年11月にHiJoJo Partners を創業。

Information

HiJoJo Partners 株式会社

登録番号:
関東財務局長(金商)第3065号
加入協会:
一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
一般社団法人 日本投資顧問業協会
登録業務:
第二種金融商品取引業 投資助言・代理業