極地のさらにその先へ
――奇跡の砕氷客船『ル コマンダン シャルコー』 で南極大陸、ウェッデル海を航く―


©StudioPONANT-Olivier Blaud

フランス船社ポナンが生み出した最新鋭の砕氷客船 『ル コマンダン シャルコー』 。「南極に最も多くのワインとシャンパンを持ち込んだ」という19世紀フランスの探検家ジャン=バティスト・シャルコーの精神を受け継ぐ優雅さと、大胆さ、そして何よりも、「未知なる世界への挑戦」という飽くなき情熱を乗せて、奇跡の砕氷客船 『ル コマンダン シャルコー』 は氷に閉ざされたウェッデル海を航く――

取材・文:朝岡久美子

今、南極の旅が世界的に脚光を浴びている――。 
21世紀に入って20年余。かけがえのない地球があちらこちらで悲鳴を上げ、大いなる自然が牙を剥いている。いやが上にも人々の環境保全への意識も高まりつつある昨今、地球本来の無垢な美しさに出合える唯一の場所はどこだろう…と考えた時、人々の頭をよぎる究極のデスティネーション――、それが南極なのだ。

遠く海を隔てた未知の大陸―そこには美しく躍動的な生の営みがあった。人類が長年共生してきた哺乳類や鳥類たちが死と隣り合わせの環境で逞しく生きる姿を目の当たりにする日々――。地球の自然環境を支えてきた厳格な生態系が、今なお南極大陸には連綿と息づいていた。
1820年の南極大陸発見以来、世界各国の偉大な探検家たちが“Terra Australis Incognita(未知なる南方の大陸)”を目指し、木造の帆船で狂おしく荒れる海原を雄々しく進んだ。その時代から約200年余。今、私たちは最新鋭の装備を兼ね備えた美しい砕氷客船に乗ってこの凍てつく白銀の世界の神秘を五感で堪能することができるようになったのだ。
地表の98パーセントが氷で覆われているといわれる南極大陸。その姿ゆえに“氷の砂漠”とも称される。あたりは見渡す限り白とブルーに満ちた静謐な世界が広がっていた。今回乗船したフランス船社ポナンの砕氷客船『ル コマンダン シャルコー』が航行した南極半島北東部に位置するウェッデル海は、従来の耐氷船では踏み込むことのできない厚い流氷に閉ざされた未開の海域だ。人間の手の及ばないこのエリアでは我々が想像しえないほどに生命力にあふれた生き物たちの営みが繰り広げられていた。 
今回の旅では、この眠れるウェッデル海の懐深くに位置する皇帝ペンギン最大の集団営巣地まで数キロほど歩いて訪れることができた。今まではヘリコプターでしか到達することのできなかったこの地に船が到達したのは、南極クルーズの歴史においても画期的な出来事だという。卓越した砕氷能力を持つ『ル コマンダン シャルコー』という唯一無二の極地探検船の存在があったからこそだ。 
「極地のさらにその先」へと踏み込み、臨場感あふれる探検旅行を提案する―――それこそが、『ル コマンダン シャルコー』で行く旅の極意なのだ。


©Sue Flood

ル コマンダン シャルコー
世界初、ハイブリッド砕氷客船の美しき姿

氷に閉ざされたウェッデル海の厚い氷を砕きながら進む 『ル コマンダン シャルコー』。

極地観測船と同レベルの砕氷能力を兼ね備えながらも、「世界初のハイブリッド豪華砕氷客船」という冠を誇る『ル コマンダン シャルコー』。洋上の貴婦人としての美しさも格別だ。2021年の夏、北極圏航路において満を持してデビューした砕氷客船の姿をご紹介しよう。

旅客船の常識を覆す大胆な挑戦

『ル コマンダン シャルコー』 はフランスのマルセイユに本拠を置くポナン社が誇る最新鋭の砕氷客船だ。その砕氷能力を語るならば、最大厚さ12mもの海氷を動かし、3mの厚さのものを砕きながらの連続航行が可能だ。この船と同等の砕氷能力があるのは、現段階では日本が誇る 『しらせ』 とロシアの原子力砕氷船のみだという。極地観測船と同レベルの能力を兼ね備えながらも、LNG(液化天然ガスもしくはディーゼルガス)と電気の双方を燃料とする「世界初の最新鋭ハイブリッド豪華客船」としての冠をあわせ持つのがこの船の特徴だ。
『ル コマンダン シャルコー』 の開発には一艘、総額約600億円が投じられている。これだけの莫大な金額を賭してポナン社は各分野の専門家、そして世界の名だたる造船所の最高の技術を終結させ、最先端のテクノロジーを誇る環境技術と推進力を持つ船を生みだした。このように既存の旅客船の常識を覆す大胆な挑戦を可能にしたのは、ポナン社がグッチをはじめ、イブ=サン・ローラン、そしてオークション会社のクリスティーズや、かのシャトー・ラトゥールなどを傘下に持つ世界最大級のコングロマリット、アルテミス・グループの一員であることが何よりも大きいといえるだろう。

スモールラグジュアリーが生み出すプライベート感

『ル コマンダン シャルコー』 の魅力は、テクノロジーのみにとどまらない。ポナン社の理念に「プライベートヨットのような豪華船で行く探検クルーズ」というのがあるが、『ル コマンダン シャルコー』 もまたプライベート感あふれるスモールラグジュアリーを貫き、船室数は123室、乗客定員も245名を超えることはない。究極の非日常性を支えてくれるスタッフのホスピタリティの質の高さも格別だ。つねに乗客の導線を把握し、微に入り細に入りの心遣いを忘れないきめ細やかなもてなしは、我々、日本人にとっては嬉しい限りだ。
船内空間は極地を覆う静寂に呼応するかのように、淡色のスタイリッシュなインテリアが施されている。どのタイプの客室もフランスの客船らしく機能美にあふれ、115㎡のキャビン空間と186㎡のジャクジー付きプライベートバルコニーを誇るオーナーズ・スイートや、メゾネットタイプのデュプレクス・スイートなどのスーペリアクラスの客室は、瀟洒ながらも豪華客船の名にふさわしい洗練された空間だ。

©PONANT-Gilles Trillard

屋内温水プール。船内でもあらゆるアクティビティ施設が完備されている。

©PONANT-Gilles Trillard

©PONANT-Gilles Trillard

上/船内最高クラスの客室 “オーナーズ・スイート” のベッドルーム。下/“オーナーズ・スイート” のバルコニー。上級客室のみならず、『ル コマンダン シャルコー』の全客室にプライベートバルコニーが完備されているのも嬉しい。

メインラウンジ。極地の情景に調和するあたたかみのある淡色のインテリアが美しいメインラウンジ。乗客の集いの場だ。

©PONANT-Gilles Trillard

屋内プール内「デトックスバー」では、豊富なラインナップのデトックスジュースやスムージーを楽しめる。



上/キャプテンのエマニュエル・ガルシア氏。 下/乗客に究極の非日常性を演出してくれる最高のスタッフの存在もこの船が持つ最高の強みだ。。

洋上で楽しむフレンチ・ライフスタイル

食の充実ぶりに触れることなしにこの船の全容は語れない。ポナン社の客船で提供される食は、そのすべてにおいてアラン・デュカス率いる「デュカス・コンセイユ」が手掛けていると言えば、どのようなクオリティを誇るか容易に想像できるだろう。特に『ル コマンダン シャルコー』で供される食は、アラン・デュカス自らが監修している。確かにレストランで食するものすべてがパリや東京で出合うデュカスの最高の一品一品そのものだ。いや、美しい氷の情景をバックに味わう皿はその倍の美味しさに感じられる。
さらにこの船はフランス産ワインの宝庫でもある。シャトー・ラトゥールを兄弟会社に持つ船会社ならではの極上のラインナップには目を見張る。乗客が毎晩ロマネ・コンティやシャトー・ディケムなどを嗜み、歓談に興じる姿はまさにフランスの“アール・ド・ヴィーヴル(ライフスタイル)”そのもの、いや、“アール・ド・ターブル(食卓の芸術)”だ。こんな光景を南極の洋上、しかも、どの船も踏み込めない未知の白銀の海域で体験するとは思ってもいなかった。ちなみに、パティシエ(菓子職人)もパン職人も乗船しており、毎日テーマに沿った優雅なティータイムを楽しめるのは女性ならずとも心が躍るひとときだ。

©PONANT-Gilles Trillard ©PONANT-JulienFabro ©PONANT-JulienFabro

左/アラン・デュカス自らが監修するダイナミックな食を堪能するメインダイニング「ヌナ」。 中2点/前菜からデセールに至るまで、微に入り細に入りの工夫と創意がなされた食の楽しみもまた『ル コマンダン シャルコー』の醍醐味だ。 右上/ティータイムのパティシエ特製の菓子も日々の楽しみだ。 右下/船内には約12,000本ものフランスが誇る最高級ワインがストックされているという。

〝探検家精神〟あふれるスタッフの存在

ポナン社が提案するクルーズ旅には、未開の地を訪れる探検家精神が真に貫かれているのも大きな魅力だ。特に南極や北極専門の探検船である 『ル コマンダン シャルコー』 には、気候・地質学、鳥類学や極地の哺乳類の専門家たち、そして、極地を知り尽くしたアクティビティなどのプロフェッショナルたちから構成される “エクスペディションチーム” が乗り込み、幅広い年齢層の乗客がそれぞれの体力に合わせて氷の世界や動物たちを肉眼で堪能できるよう最大限にサポートしてくれる。
最後に、今回の旅路を最高の体験へと導いていくれたのが、極地クルーズに精通したベテランのキャプテン(船長)エマニュエル・ガルシア氏の存在だ。操舵技術の卓越度もさることながら、エクスペディションチームとの見事なチームワークづくりと、乗客をあたたかく包み込む包容力で、自然環境の厳しさに日々挑み続ける南極圏への航海を無事安全にリードしてくれた。
ガルシア船長とエクスペディションチームの存在がいかに我々の旅路を究極のものへと導いてくれたかは、第二部でゆっくりとお伝えしよう。

©PONANT-JulienFabro

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――南極半島~氷のウェッデル海航海記―
『ル コマンダン シャルコー』が切り拓く
“氷の砂漠”の多彩な情景

アルゼンチンのウシュアイア港を出航した 『ル コマンダン シャルコー』 は、一路、堅固な浮氷に阻まれたウェッデル海へ。途中、世界で最も荒れる海域の一つと言われるドレーク海峡や南極収束線を経て、いよいよ南極圏へと突入する。本船がたどった多彩な南極半島周辺の景色をご紹介しよう。

南極航路の醍醐味

南極を訪れるのに最も良い季節月から3月頃までの夏の間だ。南極と言えばつねに極寒のイメージがあるが、夏の日中は0度前後、どんなに寒くてもマイナス5度くらいと穏やかだ。太陽の光も強く、正午前後に氷上を歩くと半袖でちょうど良い日もあった。しかし、そこは自然条件の厳しい“氷の砂漠”。一時間のうちにも何度も気象条件が変化する日も多く、ひとたび乾燥した風が吹き荒れれば途端に体感温度が下がり、人間の背丈を超えるほどの荒波も容赦ない。

本船はアルゼンチンのウシュアイアの港を出発してからほぼ2日間、南極大陸を目指し、ひたすら海上を行く。ドレーク海峡のちょうど中央から南緯60度付近の間で南極収束線という南極海流と亜熱帯海流が交わる塩境を通過。この境界線こそが、生物学上における南極圏の始まりと言われるものだ。海水の塩分濃度も急激に変化するという。
『ル コマンダン シャルコー』 を操船するキャプテンのエマニュエル・ガルシア氏は、今年で南極航海18年目のシーズンを迎えるというが、南極収束線に達した頃、こんなことを語ってくれた。「二つの海流が交差するこの海域は南極大陸の豊かさの象徴であると感じています。プランクトンも豊富で南極に息づく生物たちの食物連鎖を生み出す恵みをもたらしているのです。この海域に達すると“南極の音”ともいえる独特な波のうねりの響きも感じることができるでしょう」
確かに大陸に近づけば近づくに連れ、凝縮された密度の濃い空気感の中に響き渡る波のうねりを、そして、その響きが放つ“言葉”を感じられるようになってくる。まさに“南極サウンド”ともいえる緩やかな振動をともなった癒しの言葉だ。ガルシア氏は南極航路の魅力をこう続ける。
「南極圏の自然が与えてくれる驚異は壮大です。季節によっても、一日のうちにおいても天候も氷の状態も刻々と変化し、そのたびにまったく異なる様相を見せます。それらの多様な環境条件こそが私たちに自然の神秘と出合う喜びを与えてくれるのです。それは、ひとつとして予定調和的なものはなく、もしかしたら、この大地が生み出す自然の驚異のほんの小さな一部と言えるのかもしれません。しかし、この大自然の贈り物を享受することができる特権は何にも代えがたいものです」
航海士として夢と情熱に満ちた語り口がいかにもフランス人らしく、ガルシア氏の魅力でもあり、『ル コマンダン シャルコー』 の旅の醍醐味でもある。

各寄港地では上陸の際、「ゾディアックボート」が活躍する


正面にたたずむテーブルのように平坦な形をしている「卓状氷山」は南極特有のものだ。

©PONANT-Ian Dawson

“ブリッジ” と呼ばれる操舵室。一番手前にいるのがキャプテンのエマニュエル・ガルシア氏。

南極半島最初の上陸地 ジェームス・ロス島で遭遇した大氷河の情景。

左/ウェッデル・アザラシ。中/至近距離まで近づいてきた皇帝ペンギン。右/皇帝ペンギンの営巣地があるスノー・ヒル島での一枚。

ついに南極半島最初の島に上陸

航海四日目の午後、ついに南極大陸半島の代表的な島の一つに上陸する機会が訪れた。ジェームス・ロス島のラボット・ポイント。隕石のような多様なかたちの石が点在する乾いた大地を踏みしめた時は意外だったが、ウェッデル・アザラシが巨体をもてあますように横たわる姿を目にしながら、小高い山を登り、ついに眼下に広がる壮大な氷河に遭遇した時の感動は忘れがたい。
対岸や島の寄港地を訪れる場合、本船からは“ゾディアックボート”と呼ばれるものに乗り込み上陸する地へと向かうが、すべてが万事滞りなく進むよう、乗客をサポートしてくれるのが“エクスペディションチーム”と呼ばれるスタッフだ。今回の航路では、その司令塔となるリーダーを務めていたのがポナン社の日本代表でもあり、100回を超える極地渡航経験を持つ伊知地亮氏。乗客にとって、一生に一度体験できるかできないかの情景や出来事に遭遇できるかどうかは、リーダーである伊知地氏の見識と勘、そして決断力に委ねられていると言っても過言ではない。

未開の地、スノー・ヒル島への上陸

キャプテンのガルシア氏と伊知地氏のチームワークもまたものを言う。そのファインプレーが発揮されたのが航海6日目の朝だ。この日、ついに今回の旅のメインイベントともいえる皇帝ペンギン最大の集団営巣地があるスノー・ヒル島に上陸できることになった。第一部でも述べたが、この場所は流氷に閉ざされたウェッデル海に浮かぶ島の奥深くに位置し、より氷の厚い海域だ。客船がこの海域に踏み込んだ前例はこの『ル コマンダン シャルコー』以外にはない。
さらに皇帝ペンギンが棲息する営巣地まで乗客全員が好条件で歩ける位置に船を着岸させるポイントを見極め、操舵するのは非常に難しいという。ベテランのガルシア氏の経験値と卓越した操舵技術があってこそだ。そして、以前からこの場所を訪れるために最も良い条件を画策し、今回、それが実現することを自らの中で100パーセント確信していたという伊知地氏の熱意がガルシア氏を動かしたのは間違いない。
朝8時30分に歩き始めてほぼ1時間余。鷹揚に歩く皇帝ペンギンの行列を目にした時の喜びは、今、思い起こしても満面の笑みがこぼれてしまうほどだ。皇帝という名にふさわしい堂々たる風格を湛えながらも全身を振るわせて寄ってくる姿が何とも愛嬌たっぷりで面白く、何時間見ていても飽きなかった。



上/スノー・ヒル島にある皇帝ペンギンの集団営巣地。南極大陸にある皇帝ペンギンの営巣地でも最も大きいものの一つだ。 下/今回の航路でエクスペディション・リーダーを務めた伊知地亮氏。ポナン社の日本・韓国支社長も務める。

©PONANT-Cindy Miller Hopkins

ウェッデル海で壮大な氷山を目の当たりにした。海上に突き出ている部分は全体の数パーセントにも満たないというのだから驚きだ。

南極圏に突入―「ラーセン棚氷」の現状を知る

その後、数日をかけてウェッデル海を南下し、ついに南緯66度33分近くに達した。人間が生み出した人工的な区分において、正式に「南極圏」に突入だ。この地に及ぶと、もはや日は暮れない。白夜というものが人間の感覚にここまで影響を与えるとは、聞きしに及んではいたが、実際に体感すると何とも言えない高揚感と疲労感の双方に襲われ、不思議な気分だ。
白夜もさることながら、この海域に到達したからには絶対に眼に、心に刻んで帰らなくてはいけないことがある「ラーセン棚たなごおり氷」の現状だ。この海域は厚い氷河によって形成されたプレート(棚たなごおり氷)が大陸に沿って海上に張り出しそびえ立つ。その壮大な長さゆえに「ラーセンA」、「ラーセンB」、「ラーセンC」というように区分けされている。しかし、すでに「ラーセンA」は崩壊し、「ラーセンB」も2002年の1月から4月にかけての数か月で一挙に崩壊している。現在、「ラーセンC」の崩壊が危ぶまれているというのが現状だ。この巨大な棚氷がひとたび解けて崩壊すると、含有する水分量ゆえに世界の海面を約60㎝も上昇させるほどの影響をもたらすと言われている。強い波の浸食作用をはじめとする様々な自然要因が崩壊の原因と考えられているが、温暖化による海水温度の上昇も一つの大きな要因とされている。実際に「ラーセン棚氷」が位置する場所は、最も急激に気温上昇が著しいという。

ポーレット島のアデリーペンギンの群れ。訪れた時期は抱卵期で、多くの個体が卵を温めていた。

南極大陸の雪の上で味わうシャンパン

少し深刻な思いに駆られた後日、島ではなく初めて南極大陸側(ソブラル岬とラーセン・インレット)にも上陸。大陸側の大地に降り立ち、感動していると、シャンパンが振る舞われるサプライズに遭遇。そして、もう一方の場所ではポーラープランジ(極地の海でのダイブ)に挑戦する人々が歓喜の悲鳴をあげながら冷たい海に飛び込んでいる姿があった。アデリーペンギンたちが抱卵するポーレット島では、ペンギンの群れをバックにカヤックに挑戦する人たちの姿も雄々しかった。『ル コマンダン シャルコー』 は、乗客たちもまた、船の名に冠された探検家のシャルコーのように冒険心に満ちた情熱あふれる人々ばかりだ。
「一生に一回」と言われる南極への旅路。日中は好奇心を満たしてくれるエキサイティングなアクティビティを満喫し、夜はエレガントなフレンチスタイルのソワレが繰り広げられる12日間。氷に閉ざされた白銀のウェッデル海を行く船中は昼夜を問わず冷めやらぬ熱気と興奮に満ちていた。Vive le Commandant Charcot! (コマンダン シャルコー万歳!)

マードック島から残存する「ラーセン棚氷」方向(左上)を眺める。この海域には、崩壊した棚氷が生み出した氷山・流氷が多く流れ出ており魅惑的な景観を生みだしている。

©PONANT-Natascha Klein ©StudioPONANT-Olivier Blaud

左上/南極大陸に初上陸の際にはシャンパンが振る舞われるサプライズも。左下/極海の飛び込み(ポーラープランジ)は人気のアクティビティの一つだ。

上陸時には“パルカ”と呼ばれる防寒具やブーツも支給され寒さ対策も万全だ。

『ル コマンダン シャルコー』で行く南極の旅~
南極の生物の楽園ウェッデル海で
皇帝ペンギンに出合う~

ウシュアイア(アルゼンチン)発着
12泊14日

船名:ル コマンダン シャルコー
2023年11月16日~29日
料金:20,910€~(大人一名クルーズ料金)

・クルーズ代金に含まれるもの:
サンティアゴでの一泊、サンティアゴ—ウシュアイア間の往復フライト代、往復送迎

本誌でご紹介したウェッデル海沿いを行く旅。人を寄せつけないこの海域は皇帝ペンギンをはじめ生物の楽園でもあります。寄港地でのアクティビティはエクスペディションチームのメンバーがしっかりサポート。体力のない方でも南極の大地の醍醐味を存分に満喫できるのが魅力です。クルーズ前後の行程においての乗客ケアも充実しており、自由自在な旅のプラン作成も可能です。

お問い合わせ・ご予約:
https://www.ponant.jp/

*このクルーズには、エクスペディションリーダーとして伊知地氏の乗船が確定しています。

PONANTのクルーズで行く優雅な旅 2023~24

極地やエキゾチックなデスティネーションのエクスペディション(探検)クルーズのスペシャリストとして知られるPONANT。日本国内のゴージャスなクルーズ旅もご提案しています。2023年~24年のシーズンからその一部をご紹介します。

神話の世界からヴェネツィアの運河へ

  • アテネ発▶ヴェネツィア着
    7泊8日

    船名:ル ブーゲンビル
    日程:2023年6月26日~7月3日
    料金:3,870€~(大人一名のクルーズ料金)

エーゲ海、アドリア海、イオニア海の文化・芸術的な美を堪能する8日間の旅。アテネを出発した本船はコリントス運河を通過しガラクシディへ。パルガでは丘を彩るカラフルな家々を眺めながら風光明媚なイオニア海の美しい情景を堪能します。モンテネグロでは世界遺産の街、コトルの港を経て、一路クロアチアへ。「アドリア海の真珠」と謳われるドブロブニクからは大運河の街、ヴェネツィアを目指します。このロマンティックな都市がこのゴージャスな地中海クルーズ旅の終着点です。

オーストラリア象徴の地、キンバリー地域

  • ブルーム発▶ダーウィン着
    10泊11日

    船名:ル ラペルーズ
    日程:2023年10月10日~17日
    料金:6,530€~(大人一名のクルーズ料金)
    ・他の出発日も数多くご用意致しております。
    ・ブルーム:西オーストラリア州/ダーウィン(北オーストラリア州)

荒々しく広大な風景を堪能するオーストラリアのキンバリー海岸を行くラグジュアリー・エクスペディション。キンバリー地域で最も美しい場所の一つといわれるハンター側では、イリエワニが棲息する野生のマングローブ林や多彩な種類の鳥類も観察できます。キングジョージ川では西オーストラリア州で最も高い滝であるツインフォールズを訪れ、コリアー湾では広大なラグーンとサンゴ礁が広がるモンゴメリー・リーフを堪能します。

2024年GW 九州エクスペディションクルーズ

  • 福岡発▶鹿児島着 
    7泊8日

    船名:ル ジャック カルティエ
    日程:2024年4月27日~5月4日
    料金:6000€~(大人一名のクルーズ料金)
    ・船内アナウンスや寄港地のガイドは、主に英仏語のみ。

狭い入り江や小さな島々を巡る九州エクスペディションクルーズ。小型船を駆使したポナンの船旅だからこそ実現した旅程です。長崎県五島列島の上五島、潜伏キリシタンの郷として知られる熊本県天草地方・﨑津、さらに南下して鹿児島県薩摩川内市に属する甑島(こしきしま)列島を訪れたのち、屋久島へ。信仰と祈りの島々では現地の人々の協力のもと奥深い歴史と文化を堪能できます。その多くが世界文化・自然遺産にも指定されており、日本有数の風光明媚な観光地を訪れる7泊8日の旅。

北極点への冒険旅行

  • ロングイェールビーン
    (スピッツベルゲン島)発着
    15泊16日

    船名:ル コマンダン シャルコー
    日程:2024年7月11日~26日
    料金:33,120€~(大人一名のクルーズ料金)
    ・上記料金に含まれるもの: 空港送迎/パリ―ロングイェールビーン往復フライト・レイキャビクで下船
    ・2023年の出発日もご用意致しております。

北緯90度。この船旅で目指すのは北極点。年間を通して浮氷に覆われた神秘的な北極点は、あらゆる陸地から700㎞離れた地点に位置する最果ての場所。多くの探検家たちが魅力されながらも、今まで到達できた人間は僅かです。スピッツベルゲン島を出発した本船が氷と光の加減により変わりゆく情景の中を航行する日々は、この夏の時期に最も活動的な時を迎えている自然や野生の生物たちを観察するのに最も適しており、贅沢な時間となるでしょう。

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お問い合わせ・ご予約
https://www.ponant.jp/