Perrier -Jouët
最高醸造責任者 エルヴェ・デシャンの生み出す素晴らしきシャンパーニュの世界

今年で3回目となるPOP UPイベント「レデン 東京 バイ ペリエ ジュエ」が、5月に東京渋谷のTRUNK(HOTEL)にて盛大に開催されました。今回のイベントのために来日したペリエ ジュエのセラーマスター、エルヴェ・デシャン氏がイベントに込められた思いや、シャンパーニュが造られるまでの秘話とブランドの魅力を語ります。
 
左/ベル エポックブラン・ド・ブラン 2004:シャルドネ100%の、ペリエ ジュエの究極の表現。 右/ベル エポック2011:生命感と気品が調和する、爽快感あふれるメゾンを代表する逸品。

 

来場者の五感を刺激するグローバルイベント「L’ Eden」

―「レデン 東京 バイ ペリエ ジュエ」 は、どのようなイベントですか?

これはペリエ ジュエにとって特別なイベントです。「自然の美」を「ペリ エ ジュエ」がどのように見ているかを皆様に知って頂ける機会だからです。私はこのレデン東京で、ペリエ ジュエのシャンパーニュを皆様に紹介するセミナーを実施しました。世界的なフロマージュコンクールで優勝したファビアン・デグレ氏と共にチーズとシャンパーニュのマリアージュセミナーを開催したり、ドミニク・ブシェ氏などを迎えてシェフとシャンパーニュとのペアリング・ランチ&ディナーなども行いました。皆さんの持っているシャンパーニュのイメージは、アペリティフであるとか、前菜や魚に合うというものだったりしますが、実は食事に合わせて飲むお酒であるということを知って欲しかったからです。イベントではランチやディナーの際にシャンパーニュに合わせて自然に魚から肉に移行できるようにしました。

 

1811年創業のプレステージ メゾン「ペリエ ジュエ」の世界

― どのような環境でシャンパーニュ を造られているのでしょうか?

毎年わくわくしながら、そして少しストレスも感じながら、ペリエ ジュエのキュヴェを造っています。なぜならシャンパーニュ地方は、地理的に北の方なので、天候が不順になりやすく、5月でも寒さの心配をしなければいけません。収穫の量や質は、年によって全く違いますので、良いぶどうを確保することは大変なのですが、それだけに1年の仕事が終わると、とても幸せな気分になります。シャンパーニュ造りは、毎年違うからこそ常にチャレンジができる、そこが面白いところです。

― シャンパーニュ造りで大切にされていることは何でしょうか。

ペリエ ジュエのスタイルである、フローラル(花)のニュアンスを大切にしています。エレガンスの核となるシャルドネというぶどう品種を使って、第一次発酵が終わった後の最初のテイスティングで、その年の収穫を確認します。品種ごとに良いものをセレクトして、キュヴェの構成を考えます。単に繊細で上品な味わいだけでなく、そこに豊かさや複雑さがないといけないと思っています。

 

200年の歴史を有す7代目の最高醸造責任者

― 7代目の最高酒造責任者(セラーマスター)となられた時の心境を教えてください。

入社してから10年間、先代のセラーマスターからどのようなシャンパーニュがペリエ ジュエのスタイルに一番ふさわしいかということは、すでに習っていました。大事なことは、最初のテイスティングで決めないということです。同じシャンパーニュを3回はテイスティングして、その年のポテンシャルを見極めなければなりません。

― 受け継がれてきたものと、ブランドの革新性のバランスについて、どう考えていますか?

7代受け継がれてきた秘訣のようなものは特にはありませんが、重要なのは、ペリエ ジュエにとって何が素晴らしいシャンパーニュなのかを理解することです。いかに繊細でエレガントなニュアンスを出せるかということに尽きます。またブランドの革新性というのは、製品に表れますので、その時代に合った製品を出していくことだと思います。しかし、セラーマスターの職業人生において、何かを革新するということはそんなに簡単なことではありません。新しいテクノロジーを導入しつつも、質は変えないということが求められるからです。

 

ペリエ ジュエの魅力を生み出すエレガンス・白い花・端正な味わい

― 一番喜びを感じる瞬間はどんな時ですか? また今後、造ってみたいものはありますか?

新しいビンテージを皆さんに紹介する時が一番幸せです。育て終えた子どもが社会に旅立っていくときのような気持になります。またペリエ ジュエのスタイルは、あくまでシャルドネ中心なので、私がブラン・ド・ノワールやノンドザージュ(加糖ゼロ)、ブリュット・ソーバージュ(辛口)と呼ばれるものを造ることはありませんが、もしも自然が許してくれるのであれば、2018年のビンテージとなるシャンパーニュを造りたいです。

― 人生の最後に、何か一つだけ飲めるとしたら、何を飲まれますか?

ブラン・ド・ブランです。ネクタールというギリシャ神話に出てくる神の美酒というものがあるのですが、ブラン・ド・ブランには、ちょっとそんなところがあると思います。

 
レデン会場となったTRUNK(HOTEL)の広々としたテラスで愉しむゲスト。

会場では、シカゴを拠点に活躍するアーティストLuftwerk(ルフトヴァーク)によるデジタルインスタレーションや、ペリエ ジュエの心臓部ともいえる貴重なセラーをVRで体験。

 

Profile

エルヴェ・デシャン氏

シャンパーニュ地方出身。科学、農学、醸造学などを学んだ後、1983年にペリエ ジュエに入社。当時の最高醸造責任者である、アンドレ・バブレ氏のアシスタントとして、その技術を学ぶ。1993年、ペリエ ジュエの7代目最高醸造責任者となる。

 

Information

ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
TEL 03-5802-2671
http://www.pernod-ricard-japan.com

「ペリエ ジュエ」は、1811年ピエール・ニコラ・ペ リエとその妻アデル・ジュエにより創設された。メゾンの真髄を象徴するボトルに描かれたアネモネは、当時流行していたジャポニズム・浮世絵の影響から日本の秋明菊を描いたと言われている。