HOKKAIDO 世界が求めるその魅力

日本の北の大地、北海道の国際化が急速に進んでいる。訪日客の右肩上がりの増加は衰えを知らず、ひところのオーストラリア人に加え、アジア人観光客もその魅力に気づいたようだ。不動産の公示価格は人気のスキー場周辺で急上昇。北海道全体でも上昇に転じた。続々と進出が予定されるホテル、新幹線の延伸で変わるインフラ、変貌を続ける北海道で何が起きているのか。

協力:加森観光株式会社/ISA アーキテクツ

 

パウダースノーだけではない 北海道の自然が世界を魅了する

2018年、相次ぐ自然災害が日本列島を襲い、訪日観光客への影響が懸念されたものの、年間の総数は大幅に増加、 月にはついに史上初の年間3000万人の大台を超 える結果になった。そんな中、北海道では、外国人観光客の増加に加えて、外国人の定住者や長期滞在者が増加、外国人向けの別荘や、高級コンドミニアムの需要も急増している。人口減少に悩む地域の多い中、スキー場周辺では移住者が年々増加、宿泊施設従業員も加わり、人口増に転じるという好循環が生まれている。 北海道は元来、年間を通じて観光 資源が豊富であり、豊かな自然の景観に恵まれ、スキー需要にとどまらない魅力に溢れている。閑散期のないオールシーズン・リゾートへと生まれ変わろうとするスキー場。さらに日本有数の繁華街を有する札幌では、北海道ならではの新鮮な食材を使った料理を存分に楽しむことも可能。この週末、世界中の注目を集める北海道へ旅してみてはいかがだろう。

 

RUSUTSU RESORT
ルスツリゾート
世界に認められた北海道最大の大型総合リゾート

新千歳空港から車で90分。オーストリアで行われる「ワールド・スキー・アワード」で「ベスト・スキー・リゾート」として2年連続受賞を果たしているルスツリゾート。 3つの山からなるスキー場の頂上からは美しい羊蹄山を臨み、バリエーションのあるコースは初級者から上級者まで存分にコンディションの整ったパウダースノーを楽しめる。麓には北海道最大の遊園地、ホールのゴルフコースを備えるオールシーズン・リゾートだ。宿泊はルスツリゾートホテル&コンベンションに加え、2016年にはマリオットの「ウェスティン ルスツリゾート」がリブランドされてオープン。全室メゾネットタイプ、76m²〜108m²の広々とした造りでゆったりと寛ぐことが出来る。またルスツリゾートは荒天時でも館内でゆったりと過ごせるように飲食施設、プールなどのエンタテイメント施設も充実。国際的なリゾートとして世界に注目される北海道の代表的な総合リゾートである。

ルスツリゾートホテルにはプールやスパ、様々なレストランやエンタテイメント施設が多数用意され、荒天時もゆったりと館内で過ごすことが出来る。

2016年にリブランドされたウェスティン ルスツリゾート。全室メゾネットの広々とした客室は大人数にも対応する。

ルスツリゾートのすぐ北側にある尻別岳を滑るヘリスキーツアーも開催。一日で標高差 3000mもの滑走も可能だ。

ルスツリゾートホテルには様々なエンタテイメント施設を用意。お子さんたちも喜ぶ2階建てメリーゴーランドも館内に設置。

本年完成予定の新しい温浴施設。ルスツの大自然を眼前に楽しみながら入ることも可能。

ルスツリゾート周辺には72ホールの道内随一のゴルフコースもあり、オールシーズン北海道の自然を満喫出来る。

 

The Vale Rusutsu ザ・ヴェール・ルスツ

エリア初の大型コンドミニアムホテル 148戸が 2020〜21年の冬シーズンに誕生。販売を開始。

世界的な評価を得るルスツリゾートに、さらに2020〜21年の冬シーズン、大型のコンドミニアムタイプのホテルが加わる。昨年より、各戸の販売も開始された。オーナー未使用時にはホテルとして稼働するバ ケーションプログラムが適用される。148戸の客室はバリエーションに富み、ワンベッドルームから最大ベッドルーム(271・83m²)までの広さを誇る。インテリアなどには、ニセコ地区で成功を収めてきたプロジェクト・チームによるモダンなデザインが施され、ゲレンデを臨む絶景のロケーション、オーナー・メンバー専用ラウンジなどが用意される 他、ルスツリゾートの様々な施設へアクセスできる利便性などで、多くの人気を集めるに違いない。価格は6100万円〜5億5000万円。

ルスツ初となる大型コンドミニアムホテル。長期滞在型のライフスタイルに対応する広々とした室内と充実した設備は、かつてないラグジュアリーな休日を約束する。

ゲレンデサイドの快適なロケーション。ルスツリゾートの様々な施設に容易にアクセスすることが出来る。

 

Information

ルスツリゾート

TEL 0136-46-3111(総合予約センター )

https://rusutsu.co.jp/

 

AYA NISEKO/Ki NISEKO 綾ニセコ/木ニセコ

国際的なスキーリゾートとして認知されたニセコ地区には90年代からかなりの外国人スキー客が訪れていた。最初期には、地元の民宿を改装して利用していたという宿泊のスタイルも変化し、現在ではコンドミニアムとしてユニットを所有しつつ、ホテルとしても 貸出・運用する「コンドホテル」が主流となっている。
ニセコ地区でその代表的な建築をデザインしてきた建築家・石黒浩一郎氏にお話を伺った。

ニセコのラグジュアリーコンドホテルを代表する「綾ニセコ」「木ニセコ」

最初にニセコの建物に関わったのは約10年前、「SUIBOKU」というコンドホテルでした。抽象的な禅の世界を建築で表現したいという香港のオーナーの希望に対し「限られた素材と色」・「手の痕跡が残る工法」という具体的な建築手法を提案し実現しました。以来、ニセコ地区において年一棟のペースで建物を完成させています。表面的にはそれぞれ違うデザインの建物ですが、オーナーの希望を「具体的な建築手法」に翻訳し実現したという点では共通しています。建築家としてのテーマである「建てる手法と技術の探求」が、国際的なステージでも十分有効と感じています。
「木ニセコ」はスキーイン&スキーアウトが可能な施設として6年前に完成。当時は豪華さを競う潮流の前であり、合理的なデザインを優先した結果、機能的な美しさと親自然的な雰囲気の人気のコンドホテルとなりました。「綾ニセコ」は世界から訪れるゲストに向け、日本伝統の「綾織」をデザインテーマとしました。ゆっ たりとした広さを特に重視し、インテリア・家具・照明ともに入念にデザインしました。アートギャラリー・ キッズルーム・ヨガ教室なども並置され、多くの人々でにぎわうのを見るにつけ「綾=人と人とのつながり」を実現できたと自負しています。
ここ2〜3年は、夏季での宿泊率が急激に上昇。オールシーズンの賑わいにむけてニセコ全体が変貌する中で気になる点もあります。それは 交通・宿泊インフラが十分でなく、冬期において過密な状態になることです。実際、富裕層のリピーターは大型コンドホテルから郊外の戸建別荘へ滞在する志向が顕著です。こうした過密化は土地価格の高騰の原因となり、ニセコのもつ最大の魅力である美しい自然を損なう危険性もあります。バランスの取れた開発が今後のニセコ発展に不可欠だと感じています。

 

Profile

石黒浩一郎(Koichiro Ishiguro)

ISA アーキテクツ 一級建築士事務所代表

35 年の設計活動の中で 公共建築賞・北海道建築 賞など多数受

http://koichi1496.com/

 

モダンなデザインとなる「綾」の外観。ライティングは内原智史デザイン事務所、ペンダントライトに京都の絞り布などを使う。

アートは北海道在住の國松キネタ氏など地元若手作家の作品を優先して採用している。

「綾ニセコ」の名は、綾織り物の綾、人と人との「あや」などから名づけられ室内に由来のモチーフが各所に見られる。

羊蹄山の全容がまるで絵画のように切り取られた室内。ニセコならではのダイナミックな自然が窓に広がる。

それまでニセコにはなかったラグジュアリーコンドホテルの原型となる合理的かつモダンなデザインが施されている。

スキーイン・スキーアウトを実現したロケーションの良さを持ち、シンプルで合理的なデザインにより宿泊施設として成功を収めた。