PAVONE PRESENTS
ウイーンの夕べ ヘーデンボルク和樹
YEAR END CONCERT & DINNER


ウィーン・フィルの正団員として活躍するヘーデンボルク和樹さんの渾身の演奏。古典派から映画音楽まで幅広いレパートリーを圧倒的なテクニックを駆使した、洗練され音楽が会場に響き渡る。

ヴァイオリニスト
ヘーデンボルク和樹

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員として活動する一方、ソリストとしても活躍するヴァイオリニストのヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクさん。世界で活躍する和樹さんのプライベートコンサート&ディナーが都内で11月に開催された。昨年に続き来日した和樹さんが、この一年を通して感じたことや活動などを華やかなコンサートの模様とともにお伝えする。

文/田中 晃 撮影/杉能信介

Profile

ヴィルフリート・和樹(かずき)・ヘーデンボルク

オーストリア・ザルツブルク生まれ。父はヴァイオリニスト、母はピアニスト、3兄弟すべてが音楽家という一家に育つ。モーツァルテウム国立音楽大学を最優秀の成績で修了後、 ウィーン市立音楽大学を首席で卒業。タデウス・ヴロインスキー・ソロ・ヴァイオリン国際コンクール1位受賞等賞歴多数。現在、ウィーン・フィルの 正団員で、ソリストとしても積極的に活動する。

“悔いが残らぬよう、真摯に前を向いて進んでいきたい”

昨年、大きな話題となったべートーヴェンのソナタのCD発表から一年、再び演奏会のため来日した和樹さん。「多くの方にCDを聴いていただき、色々な思い出が走馬灯のように駆け巡ります。パンデミックが収束しても、昨今のハマスの戦闘など戦争が勃発したり、身近でも欧州のインフラ問題など世界には看過できない問題が山積みです。音楽家の私ができることは、世界共通の言語、パスポートや国境がなくとも共有できる『音楽のグローバル化』を進めてゆくということ。その気持ちがこの1年でさらに増幅しました」と語ります。
今回のコンサートでは昨年のベートーヴェンをメインにしたプログラムとは趣が違い、また和樹さんの違った魅力が表出した演奏会となった。「今回のコンセプトは、ウィーンに住んでいるザルツブルク生まれの私が、勉強し入団したのがウィーン国立歌劇場管弦楽団、深い関係性のあるウィーンフィル。その国立歌劇場の隣に立つ、ホテル・ザッハーはかつて国立歌劇場のルーツであるケルントナートーア劇場があった場所。今回、演奏するモーツァルトのソナタの40番(K454)は、その劇場でイタリアの女性ヴァイオリニスト、レジーナ・ストリナザッキによって初演を迎えました。この時期のモーツァルトは多忙だったため、この時ピアノのパートの作曲が間に合わず、初演当日メモ程度のしか書かれていない五線紙を譜面台に置き、リハーサルを行わずに演奏したというエピソードもあります。ザルツブルク生まれのモーツァルトが、生涯最も長く滞在したのはウィーンでした。私もザルツブルクからウィーンに来て演奏家として活動しています、そのあたりの思いを重ね投影したプログラムにし、このモーツァルトのソナタをオープニングにしたかったのです」
また、会場では和樹さんのライフワークであり、音楽家をリハーサルやオーケストラピットなどから撮影した、和樹さんしか撮影できない写真作品も展観。新作揃いで、ファンを大いに喜ばせた。「昨年の作品テーマは『理想を追求する』でしたが、今年はさらに一歩踏み込んで深遠なところを突き詰める。例えば自分の世界に没入しているとき、ふとカメラを向けられていることに気づいてこちらを見る。彼らが内なる世界を出た瞬間を捉える。そうした点をご覧いただきたいです」 
モノクロ写真が好き、と語る和樹さん。「色をエッセンシャルに減らすというのではなく、モノクロの世界にしかできない表現方法は私の言葉と合っている気がします。ほかの色に左右されないからこそ見えてくるものがある。服や化粧に頼るわけではなく本質を見極めたい。それは音楽ともリンクしています」 
今回、弟でピアニストの洋さんも和樹さんの演奏会を鑑賞するため来日。ヨーロッパではもうひとりの弟、チェリストの直樹さんとトリオで演奏活動も行っている。「昔から音やフレージングの作り方を見聴きして育っているので、3人の息の取り方も特別です」と洋さん。
「弟だから息が合うし、合わないときもその理由が分かります。メンタルも理解し、言い時も分かります。兄弟という特別な関係だからこそ生まれるものはユニークです」と相好を崩す。 
最後に今後も「健康に留意し、妥協せず、理想を今まで以上に追い求めてゆきたい」と語った。


今回の演奏会は「ウィーンと深いつながりがある作曲家の映画音楽やオペラ曲を集めました。ウィーンならではのエスプリを少しでもお伝えできれば」と語る和樹さん。

ウィーンの薫り漂う珠玉のプログラム

錦秋の11月13日、昨年に続きヘーデンボルク和樹さんのコンサートとディナーの会が行われた。今回は窓から東京タワーを望む虎ノ門ヒルズ51階の「アンダーズ東京」を会場に、雅趣あふれる和樹さんのヴァイオリンの調べが会場に流れる。
今回のプログラムは「ウィーンの夕べ」と題し、モーツァルトのソナタを皮切りに、ウィーンやオペラにゆかりのある作曲家や映画音楽を中心とした渾身の演奏。「独特の空気感、雰囲気、香り… …などウィーンのエスプリに触れていただき、ウィーンに興味を持っていただければ」と和樹さん。
華やいだ年忘れのコンサートにふさわしく、メインには世界を代表するラグジュアリーブランド「ティファニー」を筆頭に、新しい概念の別荘を提唱する話題の「NOT A HOTEL」、そして「アセットバンク」などの各社が協賛。エレガントな装いをした来場者が集うカクテルレセプションでは、「レミー コアントロー ジャパン」のサステナブルアプローチでシャンパーニュ新時代を予感させる「テルモン」が振舞われ、年末にふさわしくオペレッタ『こうもり』の1シーンを彷彿させる華やかな雰囲気に包まれた。


会場には写真家としての顔ももつヘーデンボルク和樹さんのモノクロ作品を展示。
指揮者のハーディングとヴァイオリニストのツィンマーマンとのプロダクション中に撮影したものなど新作12点が並んだ。

[Party Scene]一夜限りの音楽会の華やかな集い


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(1)乾杯は、メインで協賛いただいたティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク社長・橘田新太郎氏が。(2)開会の挨拶は、EY税理士法人、EYストラテジーアンドコンサルティング株式会社・チーフエグゼクティブコンサルタントで、和樹さんの日本におけるマネージャーを務める平尾恒明氏。(3)協賛いただいた、別荘とホテルの利点を兼ね備えた新しい概念の別荘を提案する「NOT A HOTEL」のブース。(4)会や会場に合ったモダンで気品漂う鬼頭郁子さんのコーディネート。(5)『PAVONE』発行人兼編集長の小柳幸子。(6)抽選会で「NOT A HOTEL」協賛の「NASU MASTERPIECE」が当選されたゲスト(左)。


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ゲストの皆さまの装い拝見。(1)和・洋装のお2人。趣の違うダンディズムが漂って。(2)和樹さん、フラワー&テーブルコーディネーター鬼頭郁子さん、お弟子さんなどと記念撮影。(3)クールな印象の寒色系のドレスの女性を、優しそうな男性がエスコート。(4)会場で凛とした雰囲気を放つシックな濃色の装いで揃えたお2人。(5)それぞれご自身の個性を生かした思い思いの装いで。(6)華やかな和装、シックな洋装の皆さまが和樹さんを囲んで。(7)和樹さん、洋さんと記念撮影。気品漂う落ち着きのある装いが会に格調を添えて。(8)オーガンジーやレースを味方にフェミニンな着こなしの方(右)と、白と黒のコンビ、肩の斜めのラインがシャープな印象を引き立てるドレスの方(左)。お2人が並ぶとコントラストがさらに際立って。(9)しゃれ味を感じさせるストライプのスーツのモダンな男性と、はんなりとしたきものの装いが素敵な女性のペア。