二次元と三次元の空間が交錯するダイヤル 山口晃氏(画家)の発想を表現したクレドール限定モデル
日本の美意識が共鳴するクレドールと画家の感性
日本の伝統や美意識を匠の技で表現するクレドールと、山口晃氏(画家)がコラボレートした、ご覧の数量限定モデルが発売される。日本文化に根付く独自の感性と現代性を融合させて昇華させる姿勢の共鳴から実現したスペシャルアイテムだ。
デザインコンセプト「数寄(すき)メカニカル」は、機械式腕時計ムーブメントの心臓部であり精度を司る「てんぷ」を起点に、一雫が万象へと広がる生命の律動から着想。数寄とは、風流、風雅なものに心を寄せることを意味し、機械式腕時計の魅力を山口氏ならではの感性から表現されたメタファー。てんぷの動きを際立たせるため、ダイヤル6時位置から9時位置にかけてはスケルトン仕様を採用。ダイヤルの切り抜き形状にも山口氏の想いが込められており、新しいものが生まれる瞬間のエネルギーと広がりを表現すべく、「開かれる」イメージの造形として取り入れられた。昨年ブランド誕生50周年を迎え、海外の高級時計市場へ進出するクレドールの新たな船出の象徴でもある。
ムーブメントとダイヤルの間には、一枚の透明なガラスを挟み、ガラスの表面にメカニカルな意匠を取り入れることで、スケルトン部分の機械的な美しさが一層際立つ。ガラスに
様々な技法を施し、二次元と三次元がオーバーラップするようなレイヤー感は、クレドールの過去のモデルから着想を得ている。革新的なデザイン性では、菱(ひし)文様が生み出す立体感のあるインデックスも特徴的だ。
山口氏の絵画的レイヤー手法がよく表れている作品としては『九州鐵道驛中驛外圖』(2016年。紙にペン、水彩。31.2×20.7cm)が知られる。なお山口氏は1969年東京で
生まれ、群馬県桐生市で育つ。1996年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。2013年『ヘンな日本美術史』(祥伝社)で第12回小林秀雄賞受賞。2017
年に桐生市初の藝術大使に就任。日本の伝統的絵画の様式を用い、油絵という技法を使って描かれる作風が特徴だ。都市鳥瞰図や合戦図などの絵画のみならず立体、漫画、インスタレーションなど表現方法は多岐にわたる。2015年個展「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城)をはじめ、2023年にはニューヨークのメトロポリタン美術館に作品が収蔵。成田国際空港や東京メトロ日本橋駅等のパブリックアートを手がける一方、新聞小説や書籍の挿画・装画など幅広い制作活動を展開。2019年のNHK大河ドラマ「いだてん 〜東京オリムピック噺〜」のオープニングタイトルバック画を担当。東京2020パラリンピック公式アートポスターを制作した。
クレドールは、貴金属を素材とした「特選腕時計」から1974年に誕生した日本発の高級ドレスウオッチブランド。フランス語で「黄金の頂き(CRÊTE D’OR)」を意味する。彫金や漆、螺鈿など、日本の伝統工芸の技術を取り入れたモデルを多く展開し、その全てに匠の精神と卓越した技術が息づく。独自スタイルで日本の美意識を昇華させてきたクレドールと、山口氏。その互いの感性と哲学が融合して生まれた本作品は要注目だ。
クレドールのインデックスの輝きに着目した山口氏は、日本画のコードの一つである菱文様を採用。光の入り具合によって光と影が反転する美しいデザインを実現するために、菱文様を構成する合計11種、60本に及ぶインデックスを新たに開発。盤面の様々な菱文様と立体的に配置されたインデックスが重なり合い、平面であるはずのダイヤルに奥行き感が生まれた。この独自の構造は、まるでだまし絵を見ているような不思議な感覚をもたらす。時刻を正確に把握するために規則正しく配置するのではなく、ダイヤルのデザインの一部として再構築をするという山口氏の発想は、新たな視覚効果を生み出し、唯一無二のオリジナリティに富むデザインを実現している。
輝きながら規則的に動くてんぷを月に見立て、そこからススキの野原が広がり、そのススキがほどけて秋草となり、曲線へと展開し、やがて天体の楕円軌道へとつながっていくさまを表現。裏ぶたをくり抜くことで、ダイヤルのスケルトン部分に光を取り込み、全体の輝きを一層引き立てる。山口氏の落款印の刻印もデザインの一部として巧みに組み込んでいる。
クレドール
Art Piece Collection
山口晃氏コラボレーション
限定モデル
GCBD997
ステンレススチール・ケース。ストラップはクロコダイル・三つ折れ方式中留(ステンレススチール)。サファイアガラス(内面無反射コーティング)風防。日常生活用防水。ケース外径38.0㎜(りゅうず含まず)。厚さ8.4㎜。キャリバー6899。手巻。日差+25秒~ -15秒。パワーリザーブは最大巻上時約37時間。石数26石。21,600振動/時(6振動/秒)。限定数量15本。2025年8月8日発売予定。330万円(税込)