SIHH2011 ジュネーブ・サロン 総括

 時計の新作は基本的に年1度、スイス・ジュネーブ市で1月に開催される高級時計見本市「SIHH」(Salon International de la HauteHorlogerie) と、同バーゼル市で3 月に実施される世界時計博「BASELWORLD」(バーゼル・ワールド)でお披露目される。

 SIHHは、カルティエやパネライをはじめとするリシュモン・グループ傘下のラグジュアリーウォッチ・ブランドを中心とする19ブランドに絞られる。オーデマ・ピゲもこちらに参画している。

 一方のバーゼル・ワールドには、パテック フィリップやロレックスというった数千ものウォッチメーカー、シャネルのようなラグジュアリーメゾン、独立時計師の個別ブースの集積スペースもあって楽しい。

 バーゼル・ワールドは入場料を払えば会場内に入ることができるが、SIHHの方は事前審査があり、インビテーションを受けないことには場内に入ることはできない。危険物探知機を備えるゲートを通過するなど警備も厳重である。ところどころにカフェ・レストランスペースがあり、ゲストたちは飲み物をはじめランチタイムには一流店のすし、盛り付けも美しいビーフカルパッチョなどを無料で戴くことができる。ジャーナリストのためのレストランといった感じのプレスラウンジもあり、原稿執筆や画像を出版社などに配信したりするためのビジネスラウンジも完備されている。

 今季の特徴だが、中国マーケットが好調のためか、北米や欧州、日本などの景気悪化が伝えられる最中にあっても各高級ブランドは強気のところが多いように思える。コンプリケーション(複雑時計)やハイジュエリーウォッチの新作もふんだんに目にすることができた。

 なお本年はSIHH会期中にPAVONEは、ピアジェ、モンブランのアトリエツアーも敢行したので、SIHH2011、バーゼル・ワールド2011から厳選した各ブランドの新作とともに、その模様もお伝えする。

取材・構成・文/松田朗 Akira Matsuda

人気のJ12シリーズにシャネル独自の新色が加わった – CHANEL(シャネル)

 フランスが誇るラグジュアリーメゾン、シャネルは今年、人気シリーズである「J12」の新しいコレクション「J12クロマティック」をお披露目して大きな話題を呼んだ。

 J12シリーズはミレニアムの年、2000年にブラックカラー、続いてホワイトバージョンをリリース。そして今季、シャネルが創造した「時の色」こと昼夜の境目、嵐を連想させる新色、クロマティックカラーの登場となった。

 ブランド創設者であるガブリエルシャネルが愛した白と黒の中間に位置する繊細さが魅力の色で、光源や角度により、瞬間を捉えて異なる表情を見せてくれる。まさに計時精密機器であるリストウォッチにふさわしい色、それがクロマティックカラー。セラミックにチタンをブレンドした新素材「チタン セラミック」をケースとブレスレットに採用。深みのある光沢を出すためにシャネルは、ダイヤモンドパウダーによる独自の研磨技術を開発している。

 なおJ12クロマティックは7モデル構成。日本人女性にも最適なケース径33㎜モデルはクオーツ、38㎜、41㎜径のモデルは自動巻。33㎜、38㎜径モデルには、ラウンドカット及びバゲットカットダイヤモンドをセットしたアイテムも用意された。

シャネル J12 CHROMATIC

ケース径41mm。逆回転防止ベゼル。ねじ込み式リュウズ。パワーリザーブ42 時間。200m 防水。自動巻。シャネル独自のチタン セラミックケース&ブレス。
609,000円

シャネル J12 CHROMATIC

ケース径38mm。パワーリザーブ42 時間。50m 防水。自動巻。ベゼル、リュウズ、針は18K ホワイトゴールド。ベゼルにバゲットカットダイヤモンド34 個(約2.5ct.)。ダイヤルインデックスにはバケットカットダイヤモンド12 個(約0.4ct.)。リュウズにラウンドカットダイヤモンド(約0.15ct.)。シャネル独自のチタン セラミックケース&ブレス。
5,355,000円

シャネル カスタマー・ケア・センター TEL 0120-159-559

躍動感にあふれ活躍する美しい大人の女性に – ROLEX(ロレックス)

 人気・実力面で高級実用腕時計の頂点に君臨するといっても過言ではないロレックスは今年、現代を駆け抜ける、しなやかで美しい女性に向けた「オイスター パーペチュアル デイトジャスト スペシャル エディション」に新星を加えた。

 ケースサイズは34㎜で、ロレックス独自の合金であり、艶やかな光沢と高貴な雰囲気を放つ18ct.エバーローズゴールドのケースがポイント。これまでイエローとホワイトゴールドで展開していた本コレクションにまた1つ、魅惑的なアイテムが加えられ選択肢が広がった。

 ベゼルに燦然と輝く12ポイントのブリリアントカットダイヤモンドは、18ct.ホワイトゴールドの台座に並べられている。また、ゴールダストドリームダイヤルは、ホワイト(写真)またはブラックマザーオブパールとゴールドの粒子との繊細かつ洗練された融合により生み出されたもの。特許を取得したPVDによる製造工程で、ピンクゴールドの粒子で装飾している。このPVD加工が独特なメタリックな光沢に寄与、なめらかな光のラインがマザーオブパールの美しい層を虹色に反射させ、見ているだけでうっとりとする。なお6時のインデックスには、印象的で繊細な輝きを放つダイヤモンドがセットされている。

 時に縛られずに未来を見つめ、自信に満ちて前進していく大人の女性にこそふさわしいタイムピースである。

ROLEX ロレックス
オイスター パーペチュアル デイトジャスト スペシャルエディション

ベゼルには12 ポイントのダイヤモンド入り。サファイアクリスタル風防。クロノメーター。パワーリザーブ約48時間。自動巻。18ct. エバーローズゴールドケース&ブレスレット。今夏発売予定。
予価 3,570,000 円

日本ロレックス TEL 03-3216-5671

宝石商の王ことカルティエは時計のマニュファクチュールでもある – Cartie カルティエ

 宝石商の王、高級時計のマニュファクチュールであるカルティエは近年、美しい意匠を追求する革新的かつ創造力に富むコンプリケーション(複雑機械式時計)、「オート オルロジュリー コレクション」を充実させてきている。

 今季、スイス・ジュネーブで開催された高級時計の新作発表会「ジュネーブ サロン」(SIHH)では、職人たちの卓越した技術力、と脈々と受け継がれる伝統の集大成ともいえる、ご覧の「ロトンド ドゥ カルティエ アストロレギュレーター」といったハイコンプリケーション(超複雑機械式時計)などがお披露目され、来場者の目を釘付けにした。

 また、レディース ウォッチでは、優美な曲線が特徴的な「デリス ドゥ カルティエ」を発表。このウォッチとともに至福の時を刻みたい。このモデル以外にも、ケース素材が異なるものストラップ モデルなど、さまざまなバリエーションが用意されている。

 エレガントな曲線を描く透明なガラス、気品あふれるオーバル型のケースを包み込むように両端がねじられ、ダイヤモンドのリボンで結ばれたフォルムが魅力。まさにチャーミングかつ気品を備える大人の女性にふさわしいアイテムだ。

カルティエ
デリス ドゥ カルティエ ウォッチ LM
Studio Dieleman © Cartier 2010

至福の時を表す“デリス”。女性の最高で甘美な時を共有する官能的で優美な新作のレディース ウォッチ コレクション。甘いエレガンスの中に、官能と無邪気さが見事に溶け合っているかのようなフォルム。驚きと魅力を味わえる、カルティエらしい魅力があふれるウォッチ。
サイズは幅38.39 mm(リューズを含む)×長43.81 mm×厚7.60 mm。ダイアルは18K ホワイトゴールド製でラウンド ダイヤモンドが配されている。サファイア風防。日常生活防水。クオーツ。18KWG(ホワイトゴールド)ケース&ブレスレット。
6,300,000 円

カルティエ
ロトンド ドゥ カルティエ アストロレギュレーター
Laziz Hamani © Cartier 2010

複雑機構の王道である、これまでのトゥールビヨン(重力補正装置)では非対応だった垂直方向に働く重力に干渉することで、正確に時を刻むメカニズム、アストロレギュレーターを世界で初めて実用化。世界初といえば、ケース素材も同様である。超軽量かつ衝撃を吸収する特性を有するニオブチタンがケース素材として採用されている。ムーブメントのゼンマイを巻き上げるローターは、両方向に効率よく作用する。素材は貴金属であるプラチナ製だ。
自動巻き。毎時/ 2 万1600 振動。パワーリザーブ( 連続駆動時間) は約80 時間。完全自社製ムーブメント「キャリバー9800MC」搭載。ケース径50mm。ニオブチタンケース。同素材サファイアカボション付きリューズ。ブラックアリゲーターストラップ。サファイア クリスタル バック。世界限定50 個。2011年今冬発売予定。
予価22,890,000 円。

カルティエ カスタマー サービスセンター TEL 0120-301-757