ドリームライナーが演出する優雅な空旅

ドリームライナーが演出する優雅な空旅

今年の7月、ブリティッシュ・エアウェイズ(以下BA)が最新鋭旅客機・通称ドリームライナーをロンドン~成田間で就航した。
究極のプライベート空間が約束される新ファーストキャビンに試乗し、BAが掲げる「To Fly. To Serve.」の英国流おもてなしを体感!
世界で類をみない、快適でエレガントなフライトで、英国を旅する。

航空業界を牽引するBAの最新鋭機、ドリームライナー

かつては世界の海を制した大英帝国。時代が変わり、人や物資の移動手段は海上から空路へと移り変わったが「太陽が沈まない」とまで謳われた大英帝国は大戦や恐慌を乗り越えながら、グレートブリテンとしてのプライドと姿勢を強固にしてきた。その象徴として、大陸と大陸の空をつなぐ役割をBAが文字通り世界のフラッグシップとして担ってきた。
BAは現地客室乗務員をいち早く採用したり、フルフラット・シートを世界に先駆けて開発したり、業界を牽引してきた航空革命の盟主だ。社が掲げる「To Fly. To Serve.」は、世界中に植民地を有していた大英帝国だからこそ、どの路線でも英国流おもてなしを提供しつつ、しかし、それにこだわりすぎることなく、あらゆる人種の顧客にも満足してもらうための、たゆまぬ進化を意味する言葉なのだろう。そのBAが今年7月から最新鋭旅客機ボーイング787-9、通称ドリームライナーをロンドン〜成田間で就航した。最先端機能を搭載した当機は、あらゆる面で優れた飛行性・快適性を発揮。さらにファーストキャビンは洗練されたデザインで究極のくつろぎ空間を追求。ロンドン、いや欧州の旅を楽しむ唯一無二の翼として存在感をアピールする、まさしくドリームライナーの名にふさわしい。この最新旅客機のファーストキャビンに試乗し、「To Fly. To Serve.」を体感してきた。

ドリームライナーが演出する優雅な空旅ドリームライナーが演出する優雅な空旅

美味な料理で出発前のひと時を。

紳士なバーデンダーが居心地の良さを演出。


極上の空旅への始まりは、コンコルド・ルームから

極上の空旅への始まりは、コンコルド・ルームから

BAのファーストクラス搭乗者とコンコルド・ルーム・カード保持者だけが利用できる、ロンドン・ヒースロー空港にある最高峰ラウンジ「コンコルド・ルーム」。2003年まで運航した超音速旅客機「コンコルド」にちなんだ、贅を尽くしたラウンジだ。日本からの旅行では、帰国便前に利用することになるが、ぜひ搭乗前の時間をたっぷり取って優雅なひと時を過ごしてほしい。
ラウンジに入ると、広々とした中央エリアにバーがあり、世界中から厳選したワインをはじめ各種アルコールを提供している。自然光が降り注ぐサンルームスタイルのブースや、フルコースの食事もできる個室風ダイニング、コンシェルジュデスクもあり、空港内のラウンジとは思えない充実ぶりだ。さらには「Elemis Travel Spa」も利用可能。専用セラピストによる肩や背中のマッサージやネイルケアのサービスを受ければ、到着後の疲労が軽減するだろう。コンコルド・ルームでのおもてなしは、ドリームライナーが誘う極上の空旅へのプロローグだ。

英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン

英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン

誰にも邪魔されない自分だけの書斎のような極上プライベート空間。肘掛など手を触れる繊細な部分には柔らかな高級レザーを使用。23インチのスクリーンのほかに、座席脇にあるハンドセットでムービングマップなどフライト情報をチェックすることができる。フルフラットで最大198cmのベット仕様にすれば快適な眠りが約束される。


最新旅客機ドリームライナーは、カーボンを使用した機体で機重が飛躍的に軽量化された。併せてエンジンの改良により燃費も向上。安定性が増し、機内の気圧や湿度調整、静音性にも優れ、快適なフライトを実現。またファーストキャビンはわずか8席のみを配し、英国の「Forpeople」社との共同開発で「快適でくつろげる空間」を追求したインテリアデザインとなっている。ダークな色合いと上品な質感でまとめられたキャビンは、いかにも英国的でエレガントな空気が漂う。
計算されたラインと適度な固さで体を包み込むような心地いいシートは、まるで英国製のクラシックカーに乗り込んだかのような満足感。目線の先には窓の外に広がる大空が。窓のスクリーンシェードは電子制御で自由に調整できるので、刻々と移り変わる雲、その切れ間から現れる雄大なユーラシア大陸を望む、とっておきの空旅が楽しめる。フルフラットのベッド仕様にしたり、新たに調整可能になったヘッドセットや腰の位置などを微調整したり、ベストなリクライニングポジションを設定。ヘッドレスト横には眼鏡や本などを入れておくキャビネットがあり、配置も含め実に機能的でスマートだ。同様にジャケットを収納できるスリムなクローゼットも。さすが英国紳士ならではの上品で無駄のないお洒落な心配りだ。
食事ももちろん秀逸。厳選食材とシェフのインスピレーションで生み出された一品一品が、クルーの洗練されたサービスでより華やぎ、美酒と共に至福の時に酔いしれる。
到着までの時間が減っていくにつれ、「あ〜、後何時間で着いてしまうのか」と心の中で呟いてしまう。到着地、ロンドンでの滞在もむろん楽しみなのだが、この極上の空旅が終わりに近づいていくことが心底残念に思えてきた。ここで過ごす時間は、単なる移動手段のためではなく、それ自体が目的なのかもしれない。できることなら、この「究極のプライベート空間」ドリームライナーでどこまでも旅を続けたい……。叶うはずのない夢物語を思い描いていると、機長がまるでロンドン観光案内をするかのごとく、テムズ川上空をなぞるように悠々と飛行し始めた。そして、徐々に高度を下げてロンドン・ヒースロー空港にランディングした。

英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン英国紳士の嗜みが凝縮したファーストキャビン

羽の生えたシェフが料理を運ぶロゴがかわいいメニュー。

ローラン・ペリエのグラン・シエクル等、世界中から厳選されたシャンパンやワインと共に感性豊かな料理に舌鼓。

段階的に明るさを調整できるスクリーンシェードで、一期一会の空の様子を眺めたい。