Kingdom of Thailand 微笑みのタイへ

いまや首都バンコクには高層ビルが林立し、外資系のララグジュアリー大型ホテルやショッピングモールが
次々と誕生するなど、目覚ましい発展を遂げるタイ。東南アジアをリードする国でのラグジュアリーライフとは
いかなるものでしょうか? 常に笑顔をたたえ、穏やかな毎日を送る彼らから、私たちが学ぶべき心の豊かさとは?

バンコクのフードビジネス その最先端を突き進む実業家

バンコクのフードビジネス その最先端を突き進む実業家
祖父は元首相という御曹司
カモンスット・タッパランスリーさん
愛車の前で笑顔を見せてくれる、無限大オーナーのカモンスットさん。

セレブが集う日本食の店

バンコク市街のなかでも最も日本人が多く住むエリアの一つで、タイ人の富裕層にも愛されるトンロー地区。サイアム地区と並び、バンコクで飲食店の成功を望むなら、経営者の誰もが出店したがる地区でもある。そんな瀟洒な雰囲気が漂う高級エリアに、高級日本料理の店「無限大」の本店は佇む。
その邸宅のような店舗の前のパーキングに、一台のベントレーが滑り込むように颯爽と現れた。ゆっくりと開くドア。そこから降りてくる長身の男性。無表情でこちらに近寄り、サングラスを外したかと思うと、「ようこそ、わざわざ遠いところから」と破顔一笑―。無限大のオーナー、カモンスット・タッパランスリーさんとの出会いは、まるで映画やドラマのワンシーンを見ているかのような既視感に襲われながらの出来事だった。
カモンスットさんが無限大をオープンしたのは今から7年前。「幼い頃から日本食のディテールの美しさに惹かれていて、いつかは自分の店を」と思い続けていた念願を叶える形で店を開いた。最高級の新鮮な食材を使った寿司をはじめ、西洋のエッセンスを付加した和のフュージョン料理が評判となり、バンコクのグルメシーンでは知らぬ者がいないほどの有名店となった。今では女優や俳優、政治家やビジネスパーソンなど、タイの角界の著名人が集う店としても名が通る。

バンコクのフードビジネス その最先端を突き進む実業家
モダンな和の佇まいが落ち着く、無限大の本店。

ビジネスは穏やかに、情熱的に

現在39歳。生まれた時から政治家一族のなかで育った。祖父は元首相のアルン・タッパランスリー氏で、父親も副首相を15年ほど勤めた。そんな家系にあっても政治にはまったく興味がないと言う。「ただ、祖父は家系が代々大使を勤めていたこともあり、攻める政治家ではなく、穏やかな会話を重視する政治家だったこともあるのでしょうか。その影響を受けて、自分の経営の戦略やビジネスの進め方は祖父のやり方に似ていますね」とカモンスットさん。無限大の人気がセレブリティの間で広まった秘訣を聞くと、料
理のクオリティにこだわることは大前提とした上で、「人との付き合いやネットワークを大切にしてきたから」と言い切る。
現在、トンローにある無限大の本店のほか、手頃な価格で提供する「無敵 by無限大」ブランドのチェーン店を含めると、タイ国内で10店舗を展開する規模にまで成長した。昨年はカフェを本店の1階にオープンし、フレンチレストランも2軒経営する。さらに奥
様と一緒にピエール・エルメの販売ライセンスを取得し、バンコクの最新ショッピング複合施設内に、同ブランドの世界で50店舗目のオープンにも尽力。まさに飛ぶ鳥をも落とす勢いを持って、タイのグルメシーンをリードしているのである。
「いま、バンコクの富裕層は世界中の美味しい料理を求めています。そんな彼らを喜ばすことができたら最高に幸せ」と目を輝かすカモンスットさん。目下、東京の著名なすき焼き店や寿司店とのビジネスの話が持ち上がり、バンコク店の出店を目指し邁進中である。いつも笑顔を絶やさず穏やかながらも、瞳の奥に宿る情熱。成功する理由が垣間見えた気がする。

カモンスット・タッパランスリー さん

カモンスット・タッパランスリー さん

大学院修了までの11年間をボストンで過ごし、タイに帰国後、Siam Commercial Bank に勤務。8年間フィアンスの第一線で活躍した後、小さい頃からの夢であった高級日本食料理店「無限大」をオープン。現在は手頃な価格で楽しめる「無敵 by 無限大」ブランドの店舗を含め全10店舗を運営する。奥様との事業として、タイにおけるピエール・エルメの代表も務める。

地元のセレブが夜な夜な集う 新鮮な魚介類を堪能できる店 「無限大 -MUGENDAI HONTEN-」

個室は5室用意。プライバシーが確保された空間で、大切な人との食事を堪能できる
個室は5室用意。プライバシーが確保された空間で、大切な人との食事を堪能できる。

日本の最高の食材へこだわる

高級日本料理の店「無限大」が、バンコクきっての高級エリア、トンローの一軒家に移転してきたのが昨年のこと。それまでも高級サービスアパートメントの屋上に店舗を構え、知る人ぞ知る隠れ家として人気だったが、車でもアクセスしやすい今の場所に移ってから、いっそうバンコクのセレブリティたちかが足繁く通うようになった。
売りは築地から週に5日も空輸されるという新鮮な魚介類が豊富なこと。それも、日本でミシュランスターを獲得するお店へ魚を卸す業者との提携で、鮮度だけでなくクオリティにも最大限にこだわる。
お客さんの8割をタイ人が占め、残りは日本人や欧米人。正統派の江戸前寿司はもちろん、世界中のいい食材を求める昨今のタイ人の嗜好を考慮し、伝統的な和食をベースとしながらもフレンチなどの要素を取り入れたフュージョン料理を提供する。例えば、蒲焼のタレで合わせた揚げフォアフラは同店の人気ナンバー1メニューとなっている。
北海道の企業との提携により、近日より野菜や乳製品、牛肉などの北海道産の食材の輸入も始まる。日本から仕入れた最高の食材が、バンコクでどのように昇華されるのか。楽しみな一軒である。

モダンで清潔感に溢れる店内
モダンで清潔感に溢れる店内。

人気の「炙りセブン」(2700 バーツ)。香ばしく炙り、素材の持ち味を引き出している。彩りも美しい仕上がり
人気の「炙りセブン」(2700 バーツ)。香ばしく炙り、素材の持ち味を引き出している。彩りも美しい仕上がり。


無限大 MUGENDAI HONTEN

無限大 MUGENDAI HONTEN

「ウニ・ラヴァ」(950 バーツ)。その名の通り溶岩のようにウニがたっぷり盛り、グラタン風に仕立てた一品。テーブルに運ばれた瞬間に広がる磯の香りが食欲をそそる。

145 Sukhumvit 63 (Thonglor 10) Sukhumvit Road, Klong Tan Nuea Wattana Bangkok Thailand
TEL +66-2726-9222
www.mugendaibkk.com

タイの文化と歴史を世界へ 社会貢献を貫く貴族の生き方

個室は5室用意。プライバシーが確保された空間で、大切な人との食事を堪能できる
前バンコク知事が「義務」と捉えること
スクムパン・パリバトラさん
スクムパンさんは親日家としても知られ、初めての海外は日本の奈良へ。小学生の頃、奈良公園で鹿と遊んだことを覚えているそう。新婚旅行は東京で、銀座の焼き鳥屋がお気に入り。今でも東京に行く度に暖簾をくぐるという。

受け継がれる文化普及への思い

丁寧に言葉を選びながら、ゆっくりと穏やかに話すのが印象的だ。2009年から16年10月まで、バンコク知事を務めてきたスクムパン・パリバトラさんのもう一つの顔は、社会貢献活動に積極的に取り組む篤志家としての顔だ。
政治学者や政治家として多忙を極めるなか、1986年より非営利団体チュムポット・パンティップ財団の会長を務める。この財団の主な取り組みは、スアン・パッカード宮殿の維持管理、そして博物館として運営すること。スクムパンさんの叔父にあたり、ラーマ5世の孫となるチュムポット・バリパット・ナコーンサワン親王夫妻がかつて暮らした宮殿を、博物館として広く一般に公開している。
「木造の宮殿は典型的なタイ式の建築で、歴史的にもとても貴重なものです。建物内には先祖から受け継いだり、親王自ら蒐集した美術品がところ狭しと飾られます」とスクムパンさん。タイの文化や歴史を広く国内外へ伝えたいと思うスクムパンさんにとって、「こうした博物館を存続させること自体が社会貢献になると考えている」と言う。
先祖もスクムパンさんと同じ思いを描いていたようだ。博物館として公開されたのは、親王が亡くなり、未亡人となったモム・ラーチャウォン・パンティップ・バリパット夫人がまだ宮殿に住んでいる時から。タイの貴族として自分が住みながら博物館として宮殿を公開するのは初めてのことだったという。
また、タイの習慣として知らない人を自分の家に招き入れることは一般的ではない。そこまでしても公開に踏み切ったのは、「歴史的に貴重な物はすべての人間の財産だという強い信念があったからに他なりません」と先祖の思いをスクムパンさんは代弁する。

生涯のテーマとしての社会貢献

チュムポット・パンティップ財団は来年、財団の設立から50年の節目の年を迎える。これまで宮殿の博物館としての運営のほかにも、自然保護や教育、美術、文化など様々な分野を積極的に支援してきた。なかでも設立以来、毎年続いているのが学生への奨学金の支給だ。最初に奨学金で学んだ人はすでに60歳を超えるという歴史ある奨学金制度である。
これまで延べ2000人を超える学生が奨学金を得て学び、社会へと飛び立っていった。ここまで支援を継続できた理由をスクムパンさんに聞くと、いたってシンプルな答えが返ってきた。「育ってきた家庭環境にかかわらず、学生なら誰しも勉学に励み、世界で活躍してほしい。そんな若者をただ応援したいだけなのです」。
恵まれた王族の家系に生まれたスクムパンさんは、幼少の頃より「社会へ貢献することは義務」と、親たちに言われて育ってきたそう。「どんなに経済的に豊かであっても、まったく社会貢献への意識がない貴族だけだったら、国や生活が続きません。それはこれまでの歴史が証明しています」とスクムパンさん。これからの人生、特に自身の目標はないと言うが、「社会貢献だけは人生のテーマとして貫きたい」と、穏やかなスクムパンさんが少し語気を強めた。

スクムパン・パリバトラ さん

スクムパン・パリバトラ さん

オックスフォード大学やジョージタウン大学で学んだ後、コロンビア大学やジョージタウン大学で客員教授、チュラロンコン大学で准教授などを歴任。同時に政府機関で様々なアドバイザーを務め、1997年から2001年に外交審議官、2009年から2016年10月まで7年間、バンコク知事を務める。1986年よりチュムポット・パンティップ財団会長として現在に至る。

タイの文化と歴史に触れられる場所
タイ王族家の至宝と出会う 伝統建築様式を今に残す宮殿

スアン・パッカード宮殿

貴重な建築物とコレクション

歴史的に貴重なタイ式の建造物は、ラーマ5世の孫にあたるチュムポット・バリパット・ナコーンサワン親王夫妻が住んでいた宮殿を移転してきたもの。第二次世界大戦の戦火から一時逃れてきたチュムポット夫妻が、素朴な田舎だったこの地を気に入り、戦争が終わってから1952年に移り住んだという。「パッカード」とはタイ語で「キャベツ」を意味し、かつてここにキャベツ畑があったことに由来する。
宮殿内はチーク材で造られた高床式の建物など、タイの伝統的な建築様式が見られる。宮殿は8棟から構成され、親王夫妻の宮殿を中心に子孫が増えるごとに棟が増築され、現在の形になった。親王夫妻は芸術に造詣が深く、タイの骨董品やアジア各国の美術工芸品を蒐集してきたことでも知られる。先祖から受け継いだ美術品も含め、その優れたコレクションが8棟の建物内でテーマごとに展示される。特に紀元前に発掘されたバンチエン遺跡の出土品や、スコータイ時代の仏像や陶磁器は必見だ。
緑豊かな敷地内は散策にも最適。都会の喧騒とは無縁の宮殿で、かつての王族の暮らしに思いを馳せてみてはいかがだろう。

チュムポット・バリパット・ナコーンサワン親王夫妻の宮殿が博物館に。豊かな緑が心地よく、都会のオアシスのような空間でもある。
チュムポット・バリパット・ナコーンサワン親王夫妻の宮殿が博物館に。豊かな緑が心地よく、都会のオアシスのような空間でもある。

バンチエン遺跡から出土された土器
バンチエン遺跡から出土された土器。


チュムポット・バリパット・ナコーンサワン親王夫妻の宮殿が博物館に。豊かな緑が心地よく、都会のオアシスのような空間でもある。
様々な時代の貴重な作品を鑑賞できる。

アユタヤ王朝後期、バンコク王朝初期の武器が展示される。
アユタヤ王朝後期、バンコク王朝初期の武器が展示される。


スアン・パッカード宮殿
Suan Pakkad Palace

スアン・パッカード宮殿

352-345 Sri Ayudhya Road, Rajathevi, Bangkok Thailand
TEL +66-2245-4934
www.suanpakkad.com

患者の笑顔のために尽力する ホリスティック治療のカリスマ

止まることなく進化を続ける医師
止まることなく進化を続ける医師
オラワン・キッチャヴェンクン先生
スクンヴィット通りにあるクリニックで。2人の子供の母親として、家族とのコミュニケーションの時間も大事にしている。

兄弟の影響で医師の道へ

5人兄弟の3人が医師という家庭で育った。6つほど年の離れた兄と姉が医学の道に進むのを見て、「真似たい気持ちを自然と強く持つようになった」と少女時代を振り返るオラワン・キッチャヴェンクン先生。タイで知らない人はいないほどのカリスマ的な人気を誇る、皮膚科とアンチエイジングに特化した医師である。
 現在、バンコクのスクンヴィットにクリニックを、そしてプーケットでは治療に専念できるホテルを備えた総合美容スペース「ホリステル」を開く。バンコクのクリニックを開業してから28年を迎えたベテラン医師とは思えないほど、オラワン先生は若々しくて美しく、常に生き生きとされているのが印象的だ。


オラワン・キッチャヴェンクン 先生

オラワン・キッチャヴェンクン 先生

チェンマイ大学医学部を卒業後、ベックマンレーザー研究所、ハーバード大学メディカルスクールでレーザー治療を学び、タイで初めてのレーザー治療専門医に。その後、タイ式医療、漢方、細胞セラピー、ハーブセラピー、ミュージックセラピーなどの資格を国内外で取得し、皮膚病とアンチエイジングにおけるホリスティック・トリートメントの第一人者となる。その取り組みは国際的にも高く評価され、「The European Awards for Best Practice 2016」をはじめ、数え切れないほどの賞を受賞している。


ホリスティック治療の必要性

クリニックでの治療のテーマは「西洋医学と東洋医学の効果的なハーモニー」とオラワン先生は言う。昨今、西洋医学だけでは解決できないストレスや精神的な問題が絡んだ原因不明の病気が流行するなか、「患者が抱える問題に対して、外面だけではなく体の内側から、そして精神的なアプローチもブレンドしないと本当の解決ができない」と感じるようになり、幾年もの歳月を経てこの道に辿り着いた。
こうした全体的な治療を目指す「ホリスティック・トリートメント」の概念とその必要性は、世界のトレンドになってきてはいるものの、トータルで実践できるクリニックは世界的にもまだ珍しく、もちろんタイでは唯一の存在だ。
ただ、ここまでの道はけっして平坦ではなかった。ホリスティックというからには、各専門知識を自身ですべて身に付けないと、多方面からアプローチする全体的な治療ができないからだ。
ここに至るまで、オラワン先生はチェンマイ大学で皮膚科を専攻して卒業した後も、ハーバード大学でレーザーの専門医を目指して学び、タイ式医療や漢方のほか、スイスでは細胞サラピーを、さらに英国ロンドンではハーブテラピーを習得してきた。その後は栄養学を習得するなど、幾つになっても「生涯を通して学ぶ」という姿勢が貫かれているわけである。
医学の最先端を進むようであるが、オラワン先生はそれを否定する。
「タイの医学生たちは皆、タイの医学の父と呼ばれるラーマ9世の父の教えを学んできました。それは病気だけではなく、人間であることをまず考えなければいけないという教えです。タイの医療はアメリカの医療の影響を長く受けてきて西洋医学の傾向が強くなっていましたが、私がいま取り組んでいることは、実は古くからタイで着目されていた考えにただ戻るだけなのです」。

多忙ななかでも大切なこと

医師として多忙を極めながらも、「ストレスは一切感じない」とオラワン先生。「すべては運命だから」と考えると、どのような状況も自然体で受け入れるようになるそうだ。
そんなオラワン先生がいま、注力するのが、これまでに学んできたことをどのように生かしていくかということ。その一つがオラワン・クリニックのフランチャイズ化だ。
医療コンサルタントを育て、コンサルティング窓口を街の至るところに設けようというのだ。実際、すでにBTS駅のなかに小さな相談窓口を設けたと言う。
「悩みを持つ患者さんがどこでも気軽に相談できれば嬉しいですよね」とオラワン先生。患者の健康と笑顔のた
めに、その取り組みはまだまだ始まったばかりである。

プーケットにあるORAWAN HOLISTEL はリゾート地らしく開放的な雰囲気に包まれる。
プーケットにあるORAWAN HOLISTEL はリゾート地らしく開放的な雰囲気に包まれる。

Dr. Orawan Holistic Institute

Bangkok Clinic
748 Sukumvit Road, Khlong Toei Bangkok Thailand
TEL +66-2661-4431


ホテルを備えた総合美容スペース
リゾート気分を満喫しながら美しく健康になるためのホリステル 「オラワン・ホリステル」

落ち着いた雰囲気のトリートメントルーム。
落ち着いた雰囲気のトリートメントルーム。

高級ホテルのようにリラックスでくる客室。。
高級ホテルのようにリラックスでくる客室。

リゾートでの贅沢な治療体験

プーケットタウンの北側。空港からパトンビーチへ向かう幹線道路沿いに佇むガラス張りでモダンな建物が「オラワン・ホリステル」だ。
ここの特徴はクリニックにホテル機能を備えていること。リゾートでのバケーションを堪能しながら、オラワン先生の治療に専念できると人気を集めている。建物の裏側には豊かな緑に囲まれた湖が広がり、その静かな環境を求めて、世界中から患者が治療に訪れるそうだ。
ゲストルームは全部で23室。開放的な空間はまるでリゾートホテルのよう。湖の目の前に設けられたテラスで健康食をいただけば、心身共にリフレッシュできるはずだ。
オラワン先生は栄養トリートメントの専門家でもあり、薬などの化学物質に頼ることなく、体の自然治癒力に着目して、食事を通じて病気を治すことにも力を入れている。先生の監修を受けた料理人は「健康食は美味しくない」という概念を覆すかのように、地元の食材を使いながら、美味しく体にいい健康食を提供してくれる。
 ヒマラヤから取り寄せた岩塩を用いたトリートメントのほか、IPL(Intense Pulse Light)の効果で美肌効果が期待できる日光浴など、様々なトリートメントも用意される。贅沢な空間でリラックスしながら健康に美しく若返る。オラワン・ホリステルは新しいリゾート滞在の形を提案しているようでもある。


ティーコーナには漢方由来の飲み物が充実する
ティーコーナには漢方由来の飲み物が充実する。

いつも笑顔で迎えてくれるスタッフのみなさん。オラワン先生を中心に。
いつも笑顔で迎えてくれるスタッフのみなさん。オラワン先生を中心に。


オラワン先生は毎週火曜日から木曜日はプーケットに顔を出す。
オラワン先生は毎週火曜日から木曜日はプーケットに顔を出す。

美味しくて体に良い健康食を提供する。
美味しくて体に良い健康食を提供する。


Dr. Orawan Holistic Institute

Dr. Orawan Holistic Institute

最上階のテラスには肌に良いるIPLカーテンを通した日光浴ができる。

Phuket Clinic(Orawan Holistel)92/3, 92/4, 1st Floor, Moo 2, Thepkasattri Road, Kohkaew, Meung, Phuket Thailand
TEL +66-76-377-679


プーケットの名家に育った才女の挑戦
先祖への感謝の心を胸に名門ホテルのオーナーの道へ

プーケットタウンの北にある閑静なエリアに構えるご自宅
プーケットタウンの北にある閑静なエリアに構えるご自宅。8万平方メートルの広大な敷地に3つの邸宅が建ち、家族や親戚と共に暮らす。

鉱夫として財をなした曽祖父

タイの南部、アンダマン海に浮かぶタイ最大の島プーケット。その美しさは「アンダマン海の真珠」とも例えられ、アジア屈指のビーチリゾートとして有名だ。実は観光地としての歴史は意外と浅く、1980年代になってから。それまで島の産業を支えてきたのは、錫鉱山、ゴムのプランテーション、そして漁業が中心だった。特に錫の生産はタイ国内でもっとも多く、長い間、タイの経済を支えてきた。
当時、錫鉱山での仕事を求め、海外からプーケットにやってくる人も多かった。シリパット・クスワン・ナラノーンさんの母方の曽祖父もその一人。中国の福建省より裸一貫、移ってきたという。。
「異国の土地での慣れない暮らし。そんななかでも曽祖父は、とても働き者だったそうです。鉱夫として稼いだお金で一艘の船を購入し、錫の運搬を手がけるようになり、財産を築き上げたと聞いています」とシリパットさん。第二次世界大戦時には兵士として島を離れる同僚の財産を預かり、戦後、彼らにきちんと返したというエピソードも伝え聞く。。
「正直で信頼できる人物と周囲から評価されたのでしょう。国から錫採掘後の土地を譲り受けたこともありました。いま、私たちが豊かな暮らしができるのも、そんな曽祖父のおかげだと感謝しています」。


歴史あるホテルのマネジャー

 現在、シリパットさんの家族が経営するパールグループでは、曽祖父が子孫のために残したプーケットの土地を生かす形で様々な事業を展開している。その事業内容はリゾートホテルや自動車ディーラーの運営のほか、不動産業やゴムの栽培など手広く、プーケット屈指の地元企業グループとして知られる。
そんななかでシリパットさんが力を入れるのがプーケットタウンにあるパールホテルのマネジメントだ。オーナーである母親は日々の業務から引退し、シリパットさんが実質的に運営を任されている形となる。
「母親の時からそうでしたが、私はホテルのマネジメントを担うに当たって、オーナーと従業員という形ではなく、本当の家族の一員のように従業員と接するように心がけています」とシリパットさん。だから従業員皆がホテ
ルを愛し、長く勤めてくれるのだと思うと言う。その言葉の通り、パールホテルでは歳を重ねた従業員が生き生きと働く姿が多々見られる。例えば、エントランスではドアマンとしておじいさんがゲストのスーツケースを元気に運び、レセプションではおばあさんが爽やかな笑顔でゲストを迎えるといった具合だ。
そんな従業員たちの働きぶりを見ながら、「こうしたホテル運営における良好な雇用関係は、ゲスト対するサービスにも必ずポジティブな形となって現れるものです。だからこれからもずっと大切にしていきたい」と目を細めるシリパットさん。従業員たちを見つめる温かい眼差しがとても印象的だった。


「私が元気なうちに娘に仕事を譲りたかった」と話すお母様
「私が元気なうちに娘に仕事を譲りたかった」と話すお母様。「いま問題に直面しておけば、いつでも相談にのってあげられるから」と優しい親心をみせる。

1歳になる息子さんを抱え、お母様とお兄様と一緒に
1歳になる息子さんを抱え、お母様とお兄様と一緒に。左のお兄様はトヨタ自動車のディーラーを経営する。


シリパット・クスワン・ナラノーンさん

Dr. Orawan Holistic Institute

12歳までプーケットで学び、13歳から英国オックスフォードのボーディングスクールへ。その後、オックスフォード大学で生化学の博士号を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーで5年間、タイとアジア地域のビジネス戦略コンサルタントとして活躍の後、家族が経営するパールグループへ。現在、プーケットタウンにある「パールホテル」とナイヤンビーチにあるホテル「ザ・スレート」の運営に携わる。個人的な事業として、幼児教育の「ジンボリー」の運営も手がける。


タイ王族一家が愛した癒し空間
歴史の風漂う街に構えるプーケット屈指の名門ホテル「パールホテル プーケット」

リニューアルされたモダンな空間

歴史的な街並みが随所に残るプーケットタウン。ビーチリゾートとは異なるタイの素朴な文化に触れられると、近年、脚光を浴びている。そんな街の中心に構えるのがパールホテルだ。
設立は1976年と古く、プーケットで最初の大型ホテルとして誕生した。ビーチリゾートとしてプーケットが発展する早い段階に登場したこともあり、休暇に訪れたタイの王族一族も宿泊されるなど、由緒正しいホテルとしても知られる。
昨年から今年にかけて館内のリノベーションが施され、全館がモダンなイメージに一新された。ホテル名にちなみ、館内は真珠をモチーフにしたデザインが随所に施され、そのアートワークのような装飾の一つひとつを鑑賞するのも楽しい。
客室は9つのスイートを含めて全部で212室。どれもがコージーで清潔感があり居心地がよい。開放的な窓からは、市街や山々、そして美しいビーチと、プーケットの魅力をすべて望むことができる。
最上階にある中華レストランでは、素晴らしい眺望に囲まれた空間で伝統的な広東料理を楽しめる。老舗ホテルならではの落ち着いたサービスもパールホテルの魅力だ。


モダンで上品なデザインにまとめられたロビーエリア
モダンで上品なデザインにまとめられたロビーエリア

シンプルで使い勝手のよい客室
シンプルで使い勝手のよい客室。


壁には錫鉱山などプーケットの伝統的な産業の様子が描かれる
壁には錫鉱山などプーケットの伝統的な産業の様子が描かれる。

タイの地方の産業をサポートする目的のチトラレイドショップ。
タイの地方の産業をサポートする目的のチトラレイドショップ。


Pearl Hotel

Pearl Hotel

レセプションでゲストを笑顔で迎えてくれるスタッフ。昔から変わることのない、パールホテルではおなじみのシーンだ。

42 Montri Road, Muang Phuket, Phuket Thailand
TEL +66-76-211-044
www.pearlhotel.co.th