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日本の風景、色の記憶 / 日本画家 平松礼二

日本を愛し、日本美に魅せられた平松礼二

 平松礼二の色は、とても奥深く懐かしい。作品を前にすると、観るものを包み込み、まるで溶けていくように、絵の世界へと導いていく。ときに優しく、ときに強引に。日本には長い間愛されてきた伝統色がある。平松の作品は赤やマゼンタではなく、朱色や緋色といった日本の色で埋め尽くされており、それが過去の記憶に語りかけ、憧憬の地へと誘うのかもしれない。それは日本の風景を愛し、自然の美しさに魅了された画家のこだわり。
日本画家、平松礼二。昭和を代表する日本画家、横山操に憧れ画家の道に進む。'70年代から続く「路」シリーズで山種美術館賞展大賞をはじめ数々の美術賞を受賞し、大きな注目を集めるようになる。その後「ニューヨーク」シリーズなどを経て、'90年代後期クロード・モネの「睡蓮」に衝撃を受け、西洋の印象派の画家たちが憧れた日本美を探求する。この経験が画家として創作意欲をさらにかき立て、「ジャポニスム」シリーズ、日本回帰を果たす「ジャポニスム 日本の彩」シリーズとして相次いで発表し、平松の絵に新たな魅力を加えた。
雅な色彩とともに、平松の絵は質感が美しい。富士山の力強い山肌、漆黒の夜空に浮かぶ妖艶な月、風に舞う桜の花の儚い様子…、どれもが愛おしく、直接心に語りかける。そして「桜ほど優しい花はない。いろ、かたち、そして散り際の美しさ。ひとひらふたひら大地に音もなく落ちていって、水を含んだり風に吹かれたり、やがて土にかえっていく。命の美しさ、それは桜の花にたとえられる。桜こそ日本人の生命そのもののありかだと思う」と語るほど、桜に特別な思いを寄せている。
日本を愛し、日本美に魅せられた平松礼二。画家がこだわる色彩と風景、そして幻想的な夢世界を巡る旅は、果てしなく続く。

平松礼二 [Profile]
1941年東京生まれ、高校美術科在学中から横山操にあこがれて画家を志し、青龍社に出品、入賞を重ねる。1965年愛知大学を卒業。フランスのオランジュリー美術館でモネの大作「睡蓮」に鮮烈な衝撃を受け発表した「印象派・ジャポニスムへの旅」は、国内外で大きな話題を集める。2000年より安井曾太郎、杉山寧、高山辰雄に続き、月刊『文藝春秋』表紙画を担当。「日本美の特質は、世界性がある」という観点から日本の美を表現し続ける。